野良猫 食情報研究所

uneyamaが運営する食品情報サイトです

2024-05-29

[NASEM]イベント

肥満解決のための円卓会議10周年シンポジウム:肥満解決:振り返り、前に進む

Roundtable on Obesity Solutions 10th Anniversary Symposium Obesity Solutions Looking Back, Moving Forward | National Academies

Jul 24, 2024

 

[FSSAI]未承認の母乳と母乳製品の販売についての助言

Advisory on unauthorized commercialization of human milk and its products [Updated on:24-05-2024][0.03 MB]

母乳と母乳製品の販売についての問い合わせがあった。FSSAIは母乳の加工や販売を許可していない。したがってすべての母乳販売行為は直ちに中止すべきである

 

[FSSAI]コメの強化についてのFAQ

FAQs on Rice Fortification.pdf (fssai.gov.in)

(Uploaded on :27.05.2024)

  1. 食品の強化とは?
  2. 強化の分類は?

・大規模食品強化(主食に広く添加)

・標的を絞った強化(子供や妊婦などを対象に使用時に添加)

・市場に任せた強化(加工食品に添加)

・バイオ強化(交配などの品種改良による)

・農学的強化(肥料や土壌に添加)

  1. 主食に強化することは多様な食品からなる健康的な食事というより大きな目標を毀損するか?
  2. 食品に強化をすることで食品が不健康になる?
  3. 何故強化が必要?健康的な食生活で十分ビタミンやミネラルがとれるのでは?
  4. どんな食品が強化されている可能性がある?
  5. 強化で微量栄養素の摂りすぎにならないか?
  6. 複数食品強化に注意が必要?
  7. 栄養が足りている人が強化食品を食べても安全?
  8. 強化食品は全ての年齢の全ての健康状態の人に安全?
  9. コメはどのように強化されている?
  10. コメの強化は貧血対策に有効?
  11. 強化米の安全な摂取量のための品質基準はあるか?
  12. 全ての品種のコメに強化可能?

(反GM活動家やオーガニック信奉者が言う傲慢な問いが含まれる。)

 

なおインドのエチレンオキシド測定法

Method for Residue analysis of Ethylene Oxide and 2 Chloroethanol in Foods.pdf (fssai.gov.in)

 

[FSANZ]リコール

Indya Foods Pty Ltd- Everest Fish Curry Masala 50g | Food Standards Australia New Zealand

28 May 2024

エチレンオキシド(量の記載なし)

 

関連

MDH と Everest:インドのスパイスが世界的に監視されている理由と次に何がおこる?

MDH and Everest: Why are Indian spices under global scrutiny and what’s going to happen next? | The Independent

インドは少なくとも180か国に31億ポンド相当の200以上のスパイスを輸出している。しかし最近の検査結果でインドのスパイストップ2企業のスパイス混合物から農薬汚染(エチレンオキシド)が示され、国内外で懸念となっている

インド政府のスパイス委員会は二社の工場査察を開始

今回の問題の始まりは4月5日の香港食品安全センターの発表で、スパイスブレンド4つにエチレンオキシド汚染があるため販売停止とした。まもなくシンガポールが続いた。

この汚染問題以前に、ある報告によるとインドのスパイスメーカーMDHの製品の約31%が過去6か月で米国税関に拒否されていた。昨年10月から、サルモネラ汚染のために拒否率が15%から31%に増加したという。

英国の食品監視機関は今月初めインドから輸入されるすべてのスパイスの監視を強化したと発表している。他国も同様。

MDHはどの段階でもエチレンオキシドを使っていないという

5月21日のFinancial Expressの報道ではインド当局による初期検査ではMDHスパイスにエチレンオキシドは検出されなかったがEverestについては一部違反があったという

 

[EFSA]意見

飼料添加物

Assessment of the feed additive consisting of Lactiplantibacillus plantarum ATCC PTA‐6139 for all animal species for the renewal of its authorisation (Pioneer Hi‐Bred International, Inc.)

Assessment of the feed additive consisting of Lactiplantibacillus plantarum DSM 18112 for all animal species for the renewal of its authorisation (Pioneer Hi‐Bred International, Inc.)

Assessment of the feed additive consisting of Lactiplantibacillus plantarum DSM 18114 for all animal species for the renewal of its authorisation (Pioneer Hi‐Bred International, Inc.)

 

SMC UK

・食事に関連する腸内微生物叢の変化を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study investigating changes to the gut microbiome associated with diet | Science Media Centre

MAY 28, 2024

Nature Communicationsに発表された研究が、食事と腸内微生物叢の変化を調べた

英国栄養士会、Aston大学名誉学術フェロー、栄養士で英国栄養士会広報Duane Mellor博士

この論文は過体重または肥満の人のたんぱく質を調整した間欠断食の影響を調べた先に発表された研究の、糞便細菌と消化管症状を解析したものである。比較的小規模だが詳細な研究で、20人をたんぱく質を調整した間欠断食(断食の日は週に2回で350-550kcal、断食でない日は1日4-5回食事をする、タンパク質は一定量)にわりあて、健康的なカロリー制限ダイエットと比較した。この食事法は注意深くデザインされたものでたくさんのサプリメントを含み、普通の食品店を利用して同じことをするのは困難である。

間欠断食による減量とそれに伴う腸内細菌の改善を示唆する興味深い研究ではあるが、この影響がたんぱく質の調整によるタンパク質量の多さによるものなのか間欠断食の影響なのか、あるいは食事中の食物繊維の多さによるものなのかはわからない

 

・人生初期の空気の汚染と騒音暴露と青少年と若年成人時の精神衛生を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study of air and noise pollution exposure in early life and mental health in adolescence and young adulthood | Science Media Centre

MAY 28, 2024

JAMA Network Open に発表された研究が汚染暴露と若者の精神衛生を調べた

Swansea大学生命医科学教授Martin Clift教授

この論文そのものはよく構造化されていてよくある汚染物質の精神疾患への影響、特に暴露時期が重要であることを強調する。特に騒音の影響を強調したのが注目される。しかし多くの限界もあり研究全体の影響が制限される

 

その他

食用色素:ある会社の炭素削減方法

Food colouring: How one company is cutting carbon (foodnavigator.com)

28-May-2024 By Donna Eastlake

食品業界は二酸化炭素排出量を減らすよう求められている。食用色素会社Exberryがどうやって炭素強度carbon intensityを減らしているか語った

(工場での製品あたりの二酸化炭素排出量の話。LCAをやれば天然色素より合成色素のほうが成績がよさそうだけれどそこは敢えて無視するのかな)

 

メディアは「精子に高濃度のグリホサートがみつかった」研究をどう報じたか―データが実際に示したのは:ほぼ何も検出されず精子への影響もない

How the media portrayed a study: “High Levels of Glyphosate Found in Sperm” – What data actually show: Almost no chemical traces and no effect on sperm - Genetic Literacy Project

Kevin Folta | May 28, 2024

今月初め、フランスの研究チームが「ヒト精子にグリホサートが存在:不妊のフランス人集団で初めての報告と酸化的ストレスとの正の関連」というタイトルの論文(Glyphosate presence in human sperm: First report and positive correlation with oxidative stress in an infertile French population - ScienceDirect)が発表された。この研究発表とほぼ同時に英国のThe Guardianがグリホサートを警告する記事を出した「高濃度の除草剤が半分以上の精子検体から見つかった、研究が発見」。

問題の論文を見ると、以下のことが書いてあった

・人間の受胎能力と精子の質が落ちている

・農薬のような環境中化学物質が原因ではないかと疑われている

・グリホサートはよく使われている

・だからグリホサートが受胎能低下の原因である

科学者は極めて高感度の分析法で血液や精漿のグリホサートを測定し、精子の数と質と酸化的ストレスのマーカーを調べた。著者らはこの結果が「ヒト生殖健康への負の影響」を示したものだと結論して予防原則を適用すべきだと主張する。

注意すべきは彼らが測定したのは精子に含まれる数千の化合物のうちのたった一つであることである。しかしよく見てみると彼らが検査したのは精子ではなく精液で、それは精子とは別の腺で作られるものである。なのにタイトルは「精子から見つかった」という。

さらにあるメディアはグリホサート陽性の男性は100%不妊であると示唆する。一見恐ろしいが、実際には無意味だ。測定は不妊男性が対象だったから。

検査したのは128人で、調査を完了できたのはそのうち47人。精漿からグリホサートが検出されたのは128人中73人で、重要なキーワードは「検出」である。彼らの測定方法は極めて高感度で、血中グリホサート濃度は0.19 ng/mlを検出している。精漿からは0.73 ng/mlという驚くべき少量である。メディアは「高濃度」と主張するが科学者はそうは言わないだろう。

研究の著者らは精子数や運動性、異常な形態を測定し、有意差はなかったとしている。ではなぜこの結果が「心配だ」と主張するのか?酸化的ストレスの指標に差があったからだ。しかしそれは生物学的に意味があるだろうか?著者らの主張は結果をはるかに超えている。

この物語は「活動家科学者activist science」の理解に役立つだろう。今回の研究の対象者はフランスの穀物とワインの生産地であるTours近傍の人たちで農薬購入量が多い。しかし検査したのはグリホサートのみで、もし有機農業でよく使われる銅を選んでいたらどうなっただろう?酸化的ストレスに関連しそうなニコチンや喫煙副産物には興味がないのだろうか?彼らの意図はわからないが、奇妙であることは確かだ。

(一部のみ。フランスは国研の研究者が活動家みたいなので)