[HK]食品安全ファクトチェッカー
デイリリーとコルヒチン
Daylily and Colchicine (cfs.gov.hk)
2 Apr 2024
多くの植物は料理に使えるが、すべての植物の花が食用に適するわけではない。食用花であっても摘んですぐ食べられるとは限らない。
生鮮デイリリーは花が咲く前に収穫して一部は野菜として使う人もいる。生鮮デイリリーの根と花びらにはアルカロイドの一種であるコルヒチンが含まれることを知っておくべきだろう。もし十分に水にさらしてよく加熱しないで生鮮デイリリーを食べると、コルヒチンが人体内でオキシジコルヒチンという有毒代謝物に酸化される。オキシジコルヒチンは消化管の不快症状、腹痛、嘔吐、下痢などを誘発する。
安全にデイリリーを食べるには、乾燥デイリリーや加工済みデイリリーを選ぶことを助言する。生鮮デイリリーを使わなければならない場合にはよく水にさらして完全に調理してから、少量だけを食べるべき。
[HK]食品警告
包装済みスパイスミックス検体にエチレンオキシド
5.4.2024
定期食品サーベイランス計画の一環で小売店から入手したインド産カレーパウダーにエチレンオキシドを検出した。
(製品の写真あり、検出濃度不明)
[SFA]SFAはインド産Everest 魚カレーマサラを許容量を超えるエチレンオキシドのためリコール
SFA recalls Everest Fish Curry Masala from India due to the presence of Ethylene Oxide at levels exceeding permissible limit
18 April 2024
180424-media-release---recall-of-everest's-masala-fish-curry.pdf (sfa.gov.sg)
香港食品安全センターがインド産Everest 魚カレーマサラを許容量を超えるエチレンオキシドのためリコールした。問題の製品はシンガポールにも輸入されているため、SFAは輸入業者にリコールを指示した。
エチレンオキシドは食品への使用は認められていない。農産物の微生物汚染予防のための燻蒸には使える。シンガポールの食品規制ではスパイスの殺菌に使用できる
(検出濃度も基準値もここには記載がない
20221006-sfa-media-release---recall-of-two-mie-sedaap-spicy-noodle-products-from-indonesia-due-to-presence-of-ethylene-oxide.pdfではThe Maximum Residue Limit (MRL) of ethylene oxide in spices should not exceed 50mg/kg (50ppm).とあるが)
[欧州オンブズマン]EUの遺伝子組換え生物規制への申請に関連して、欧州委員会が「新しいゲノム技術」の影響評価で懸念にどう対応したかについての決定
OPENED ON Monday | 24 April 2023
DECISION ON Monday | 15 April 2024
ゲノム編集の規制緩和案を提案するにあたって行われた欧州委員会の規制影響評価について2つの市民団体が苦情を申し立てた
オンブズマンは特に問題ないと結論
[ProMed]原因不明の死、病気-ナイジェリア(第2報): (SOKOTO, ZAMFARA, KADUNA)重金属中毒疑い
Undiagnosed deaths, illnesses - Nigeria (02): (SO, ZA, KD) heavy metal poisoning susp.
https://promedmail.org/promed-post/?id=8716127
Date: Fri 19 Apr 2024 Source: Punch [edited]
ナイジェリアCDC長官Dr Jide Idrisが三州の保健担当者と会合した
2024年4月19日までに疑い症例196、死者は7
(検査結果はまだ)
[COT]航空機の客室の空気の質に関する声明
Statement on Aircraft Cabin Air Quality | Committee on Toxicity (food.gov.uk)
Last updated: 23 April 2024
揮発性有機化合物(VOC)や一酸化炭素、二酸化炭素の影響を検討
ほとんどの文献では航空機の客室の空気中の化合物濃度はバックグラウンドレベルで、煙やヒュームが生じるイベント後の情報は限られている。
有機リン化合物については、航空機の客室の空気中の濃度で暴露されたことによる健康への有害影響はありそうにない。VOCについては平均濃度は他の労働環境や輸送手段より高いものの労働基準よりは低く健康へのリスクとはならない。
COとCO2も急性・慢性両方で有害影響をひきおこすことはありそうにない。
全体として、航空機の客室の空気に報告されている化学汚染物質濃度は乗務員に短期および長期暴露後の有害健康影響の原因とはなりそうにない
[ASA]ASA裁定
GKOnlineCo Pty Ltd - ASA | CAP
24 April 2024
閉経期症状の治療用に宣伝していたブレスレットとペパーミントオイルのFacebookの広告。医療クレームをするものは医療機器でMHRAの認可が必要
[EPA]EPAは労働者と地域を守るためにより強い化学物質リスク評価プロセスを最終化
EPA Finalizes Stronger Chemical Risk Evaluation Process to Protect Workers and Communities | US EPA
April 23, 2024
裁判所の裁定に従って、TSCAによる化学物質リスク評価プロセス改定
以下を含む
・複数の暴露経路、複数化合物への同時暴露のような現実世界でのシナリオを考慮
・リスク評価は包括的である必要があり使用や暴露の条件を除外しない
・ほかの連邦機関の重要なインフラで必要とされる使用を考慮
・最新の科学を使用し続けることを確実にする
・目的に適ったアプローチでリスクが低いものは締め切りまでに完了するよう厳密でなくても可
など
Risk Evaluations for Existing Chemicals under TSCA | US EPA
[FDA]FDAは人々に確立された窒息救助法に従うように勧める
April 22, 2024
アメリカ赤十字とアメリカ心臓協会が認めた窒息救助法に従うように。
市販の窒息用機器は使わない。それらは有効性が証明されておらずFDAが認めたものではない。
(面白グッズ結構売ってる)
論文
-植物ベースの肉代用品とその心代謝健康への影響:植物ベースの肉代用品と動物食品での8週間RCT
Darel Wee Kiat Toh et al.,
The American Journal of Clinical Nutrition
Available online 8 April 2024
89人の参加者に植物ベースの肉代用品(PBMA)と肉ベースの肉を一定量、ほかの食事成分は維持して食べたときのLDLコレステロールへの影響を調べた。
トランス脂肪、食物繊維、ナトリウム、カリウムで影響はあったがLDLに差はなかった。
PBMAが広範な健康上の利益になることは示されなかった
-米国ライフスタイル医学会は子供たちを超加工、砂糖で甘くした食品や飲料から守る法案を支持
American College of Lifestyle Medicine supports proposed law requiring protections for children from ultra-processed, sugar-sweetened foods and beverages
23-APR-2024
American College of Lifestyle Medicine suppor | EurekAlert!
提案されている子ども糖尿病削減法2024は、12才以下の子供にジャンクフードの宣伝を禁止し、超加工と砂糖で甘くした食品や飲料に警告表示を要求するものである。ACLMは約11000人の会員がいて300人以上が小児科医でこの法案を支持する
-ある種の食品添加物乳化剤摂取が2型糖尿病発症に関連する可能性
The consumption of certain food additive emulsifiers could be associated with the risk of developing type 2 diabetes
23-APR-2024
The consumption of certain food additive emul | EurekAlert!
The Lancet Diabetes & Endocrinologyに発表されたフランスのNutriNet-Santé
Mathilde Touvier研究主任はこの研究は因果関係を確立したものではないが、消費者をよりよく守るために食品業界での添加物の使用をめぐる再評価と規制の重要な要素である、という。
NutriNet-Santéは2009年に開始し現在も参加者募集中で17万人以上の参加者がいる。参加者はニュートリノート(栄養探索者)と呼ばれオンラインで月に数分のアンケートに答える。これまで270以上の論文を出してきた
(いつものやつ。たった一つのコホートでたくさん論文出してるので読む側に注意が必要)
-TikTokの健康情報:善玉、悪玉、卑劣漢
Health information on TikTok: The good, the bad and the ugly
Health information on TikTok: The good, the b | EurekAlert!
23-APR-2024
Otolaryngologyに発表されたTikTokの副鼻腔炎に関する動画の解析。
約44%に事実でない情報が含まれ、医療従事者ではない1万人以上のフォロワーがいる人のコンテンツにデマや質の低いものが多かった
-医学における栄養-新しいレビューシリーズ
Nutrition in Medicine — A New Review Article Series | New England Journal of Medicine (nejm.org)
NEJMが栄養に関する新しいシリーズをはじめた
食事要因は高血圧、肥満、心疾患、脳卒中、2型糖尿病、がん、特に胃がんと大腸がん、に寄与する、アメリカ人の4人に1人はダイエットをしている。それにもかかわらず、食事と健康の関係は複雑で理解が不完全である。最近のデータによると世界中の栄養カリキュラムは不適切で、医師国家試験の問題で栄養関連は1%未満である。その結果多くの医学生は別の場所で栄養教育を探し、栄養評価や基本的食事戦略について不安を表明している。
さらに事態を複雑にしているのは、伝統的栄養以外の栄養不良の新しい原因-社会経済的地位の低さや食事制限、慢性疾患など-がますます認識されるようになった。胃切除手術や減量薬の使用が増え、そのような患者の治療後の栄養不良に注意が必要である。高齢者の栄養不良も差し迫った問題である。高齢者の栄養評価は持病や多数の医薬品投与、終末期の意思決定などでしばしば複雑になり、微妙なアプローチを必要とする。
医師にもっと栄養教育が必要だと要請されている。そこでNEJMは新しいレビューシリーズ開始を発表する。
世界中の患者の健康増進のために、「思考の糧food for thought」ではなく「実践としての食food as practice」を採用しよう
生涯にわたるエネルギーとマクロ栄養素のガイダンス
Heymsfield SB, Shapses SA.390:1299-1310, 2024
(とりあえず王道から始まった。医師は食の専門家ではないのに専門家のふりをする人たちがいるので、BMJのような偏った見解にならないことを期待するがさて)
[SMC UK]乳化剤と2型糖尿病を調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at emulsifiers and type 2 diabetes | Science Media Centre
APRIL 23, 2024
Lancet Diabetes & Endocrinologyに発表された研究が、食品添加物の乳化剤と2型糖尿病リスクを調べた
King’s College London栄養科学准教授Sarah Berry博士
この種の大規模疫学研究は、科学のプロセスの重要な一部ではあるが、こうした研究が乳化剤が2型糖尿病の原因であることを証明することはできない。乳化剤を含む食品はほかの多くの成分を含み、個々の化合物の影響を識別するのは困難である。
乳化剤は個別に安全性をチェックされているがこれらを混合した場合の研究は少ないために、こうした研究は将来により厳密な臨床試験を行う際の参考になる
Aston大学医学部登録栄養士で上級講師Duane Mellor博士
これはこれまで食品添加物と超加工食品と各種健康リスクが関連すると報告してきたNutriNet Santeコホートの興味深いさらなる解析で、乳化剤は製造された食品によく使われる添加物なのでこの結果は驚きではないだろう。
考慮する必要があるのは、この研究で対象にした乳化剤は極めて多様で、重炭酸ナトリウム(重曹)も含む。重曹は乳化剤としても使われるが主な使用はベーキングパウダーであり、成分の分類には重なる部分がある。この研究の摂取量推定のやりかたには注意が必要で、3回の24時間思い出し調査から乳化剤を料を推定している。つまりこの論文で示唆している正確な推定は単純に不可能で、この論文ではエラーの幅を明示していない。
この論文が考慮していないのは各乳化剤の人体での処理方法の違いで、レシチンは天然に卵黄に含まれるがレシチンには一連の化合物が含まれ、ポリソルベートとは全く異なる。すべての乳化剤が同じと考えてはいけない。
乳化剤と2型糖尿病のリスク増加の大きな要因はリン酸で、その主な摂取減はケーキとビスケットである。つまり交絡要因がある可能性のほうが高い
Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授
これは食品添加物と病気の関連を調べているNutriNet-Santéコホートからのいくつかの研究のうちの一つである。すべての栄養観察研究同様、食品の摂取量推定の困難さが問題である。食品は標準規格はなく製造業者に添加物使用の詳細情報提供義務はなく、したがって摂取した乳化剤の量を推定するのは不可能で極めて信頼できない。この研究で示したことがあるとすれば、しばしば乳化剤を含む食品と糖尿病の関連であって、乳化剤そのものとの関連ではない。
著者らは多数の乳化剤を調査しているため、偶然の知見である可能性が高い。観察されたエフェクトサイズは極めて小さく意味がある可能性は低い。この研究では病気のリスクに関連する乳化剤としてリン酸を同定しているが、リン酸は天然に多くの食品に存在し、主な摂取源は乳製品や肉である。この研究ではリン酸の摂取源はケーキで、糖尿病リスクと関連するのはケーキのような砂糖の多い食品であって添加物ではないだろうと考えるのは容易である。
まとめると、この研究はそのデザインから、乳化剤の健康影響についての信頼できる情報を提供できず、そのような主張はできない。ほかの研究では、例えばヨーグルトのような、乳化剤を含む食品と2型糖尿病リスクの削減が関連すると報告されている
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
この研究はフランスのNutriNet-Santéコホート研究での食品や飲料中の乳化剤と非伝染性疾患の関連についての一連のシリーズの3つめである。先の二つは心血管系疾患とがんでこの論文の引用文献になっている
この研究も前の2つの研究と同じ欠点と強みがある。
彼らは60もの乳化剤を調べそのうち7つの乳化剤と1グループ(カラギーナン)だけで関連を見出した。一部の乳化剤についてはデータはあるが関連がなかった、ほかの多くは摂取量が少なすぎて意味のある結果にならなかった。彼ら自身も書いているように、一つの観察疫学研究だけでは因果関係は確立できない。
(以下長い説明略。メカニズムなどの他の系統の根拠が全然ないことも指摘)
その他
Samoa's dengue outbreak - Expert Reaction - Science Media Centre
Published: 23 April 2024
サモアは命に係わるデングウイルスを運ぶ蚊を殺すために学校や病院を燻蒸する予定
サモアでは患者200人以上が確認され、さらに多くの感染者がいると推定され、デング熱のアウトブレイクを宣言した。
SMCは専門家のコメントを求めた
(以下コメント略)
- Lunchableを使うべきか使わないべきか
To Lunchable or Not to Lunchable? | American Council on Science and Health (acsh.org)
By Susan Goldhaber MPH — April 22, 2024
Consumer Reportsの4月9日号の記事が「あなたの子供の学校でのランチにLunchableを使うべき?」と尋ねる。この記事はこれらランチキットが鉛やその他汚染物質を含み子供の健康に有害だと主張する。保護者は心配すべきか?
私は90年代に息子のランチにLunchableを使ってきた。私は知らないうちに子供に鉛とフタル酸とナトリウムを与えていたのか?私は栄養士ではなく毒性学者なので鉛とフタル酸について議論する。
鉛は子供の神経系に有害だが主な暴露減は食品ではなく古い建物の鉛塗料である。子供たちの鉛濃度は1980年代以降劇的に減っている。新たに食品中鉛のニュースが増えたのはより低濃度で測定されるようになったからである。鉛は常に食品中に存在したが測定できなかったので心配されなかった。
フタル酸は食品と接触する包装に使用されていてFDAが規制している。Consumer Reports自身が規制値を超えるものはなかったと報告している。なのに何故健康に危険だと結論しているのか?カリフォルニアの最大許容量(MADL)を参照しているからである。Consumer ReportsがカリフォルニアのMADLを使う理由は、それ以外の根拠に基づいた指標ではヒト健康にリスクとならないとなるからである。
FDAの参照量を使うとLunchableのどれも参照量を超えることはない。
Consumer Reportsがこのような欠陥のあるやりかたをするのは残念である。
米国中の忙しい両親は心配する必要はない。
-大きさは問題?スナックについては明らかに問題
By Mauro Proença — April 23, 2024
現在の肥満をめぐる議論が、スナックのサイズについて新たな次元に入った。これまで議論は栄養や食習慣が中心で、一食や一単位のサイズが見過ごされてきた。この一見重要でない要因は私たちの日々のカロリー摂取に有意に影響する
(大きさは関係ないという考えのほうが信じられないのだが、これまでの論調を見るに本当にそう思っていそう)