野良猫 食情報研究所

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2024-07-04

[EU]化粧品に使われる銀の安全性についてのSCCSの意見

SCCS Opinion on the safety of Silver (CAS/EC No. 7440-22-4/231-131-3) used in cosmetic products - European Commission (europa.eu)

3 July 2024

最終意見

クロサイズの銀粒子(着色料)

生殖毒性カテゴリー2であることを考慮し、洗い流す製品に0.2%まで、皮膚に残る製品に0.3%までの使用は安全ではない

ただしアイシャドウと経口暴露製品(リップクリーム、練り歯磨き、マウスウォッシュ)では指定された濃度で安全と考える

 

[EFSA]食品中低分子有機ヒ素のリスク評価

Risk assessment of small organoarsenic species in food | EFSA (europa.eu)

2 July 2024

モノメチルアルソン酸MMA(V)はラットの下痢による体重減少をエンドポイントにBMDL10を 18.2 mg MMA(V)/kg bw/day( 9.7 mg As/kg bw/dayに相当)

ジメチルアルシン酸DMA(V)はラットの膀胱腫瘍増加をエンドポイントに

BMDL10 を1.1 mg DMA(V)/kg bw/day ( 0.6 mg As/kg bw/dayに相当)

他の低分子については毒性データが不十分でリスク評価に含めない

MOEはMMA(V)については全ての集団で500以上で健康上の懸念とはならない

DMA(V)については遺伝毒性発がん物質なのでMOE 10000以上が目安となるがほぼすべての集団でこれ以下であり健康上の懸念となる。

 

簡単な言葉での要約

Risk assessment of small organoarsenic species in food | EFSA (europa.eu)

(これは想定の範囲内。無機ヒ素のような極端な数値は出してこなかった。やはり疫学の扱いが問題。コメには厳しいことに変わりはないが)

 

[EFSA]データ要請:食品添加物のフマル酸とコハク酸

Call for data for the re-evaluation of fumaric acid (E 297) and succinic acid (E 363) as food additives

deadline: 31 December 2024

 

[FDA]FDAは何を認可している?パート2

What Does FDA Approve? Part 2 | FDA

07/02/2024

FDAの事実 11-20 

動画

11.FDAは皮膚充填剤を医療機器として規制している。シリコーン注射は認可していないので注意

12.FDAが認可したホメオパシー製品は存在しない

13.FDA臨床試験には多様な人が参加することを勧める

  1. FDAは製造業者が食品に、健康的な食事を簡単にできるようにするための表示を求めている
  2. FDAはオンラインを含め薬局は認可しない
  3. FDAは動物用の食品と医薬品を規制する

17.FDAでは12000人以上の質の高い科学者が働いている

  1. FDAは血液と血液成分の収集を規制する

19.mRNAワクチンはFDAが認可する前にNIHで何十年も科学的に研究されて開発された

20.FDAの規制対象製品について苦情がある場合にはFDAはそれを聞きたい

 

[MPI]食品安全と質の高い科学への卓越した関与が認められた

Outstanding commitment to food safety and quality science recognised | NZ Government (mpi.govt.nz)

04 July 2024

昨夜、ニュージーランド食品科学技術研究所賞で、Pierre Venter博士が今年の食品安全への大きな貢献賞を贈られたことを祝福する

Venter博士はFonterraの研究開発部長として20年以上働いてきた。

 

[ASA]ASA裁定

-Aspire Nutrition - ASA | CAP

03 July 2024

マルチビタミンサプリメント自閉症の治療に有効といった宣伝が違反

 

-Spectrum Awakening - ASA | CAP

03 July 2024

サプリメント自閉症ADHD発達障害の治療に有効といった宣伝が違反

 

-The Drop Supplements Ltd - ASA | CAP

03 July 2024

サプリメントが不安や自閉症の治療に有効といった宣伝が違反

 

-Happy Koala LLC - ASA | CAP

03 July 2024

サプリメントの減量効果宣伝が違反

 

-The Clean Supps LLC - ASA | CAP

03 July 2024

サプリメントの減量効果宣伝が違反

 

-The Big Table Group Ltd - ASA | CAP

03 July 2024

TikTokの動画が無責任に過剰飲酒を勧めることが違反

 

(AIによるモニタリングで検出された違反が含まれる。ネット広告の取り締まりにはそういうのが必要なのだろう。ソーシャルメディアの監視なんて大変そう)

 

[CFIA]カナダ政府は飼料規制2024を発表

Government of Canada announces the publication of Feeds Regulations, 2024 - Canada.ca

July 3, 2024

規制を近代化した

 

[CFIA]食品安全検査報告

-ココナツウォーターの表示されていないアレルゲンとグルテン―2021年4月1日から2022年1月31日

Undeclared allergens and gluten in coconut water – April 1, 2021 to January 31, 2022 - inspection.canada.ca

2024-06-16

85検体を調べて1検体から表示されていない大豆が検出された。

健康上の懸念となるかどうかを評価した結果健康リスクとはならないことがわかり製品のリコールは行われていない

 

-砕いたスパイス/ハーブの表示されていないアレルゲンとグルテン―2021年4月1日から2022年1月31日

Undeclared Allergens and Gluten in Ground Spices/Herbs – April 1, 2021 to January 31, 2022 - inspection.canada.ca

2024-06-16

249検体中65検体から表示されていないグルテンやピーナッツ・ごま・大豆などのアレルゲンが検出された。

健康上の懸念となるかどうかを評価した結果健康リスクとはならないことがわかり製品のリコールは行われていない

 

-エキゾチック肉、シーフード、砂糖/糖蜜の有害金属―2021年4月1日から2022年3月31日

Toxic Metals in Exotic Meats, Seafood and Sugar/Molasses – April 1, 2021 to March 31, 2022 - inspection.canada.ca

2024-06-16

422検体を調査し、そのうち最も懸念されるヒ素カドミウム、鉛、水銀の結果のみをこの報告に記載する。85%の検体が1つ以上の金属を含み、24%は4つの有害金属全てを含んでいた。シーフード検体から最も高濃度が検出された。魚の水銀は既存のトレランスを超過しなかった。ほかの製品の金属には規制はない。分析した全ての検体はヒト健康への懸念とはならない

 

-特定の食品の食用色素―2021年4月1日から2022年3月31日

Food Colours in Selected Foods – April 1, 2021 to March 31, 2022 - inspection.canada.ca

2024-06-16

ベーカリー製品、飲料、乾燥ミックス、自然食品、お菓子、菜食主義者用食品192検体を、最大43の色素について調べた。61検体から色素が検出され、使用基準超過は10検体だった。検査の結果はヒト健康に許容できない懸念とはならない。

 

論文

-医薬品の違法オンライン広告の10個中6個は消費者に認識されない

Six out of ten illegal online ads for medicin | EurekAlert!

3-JUL-2024

イタリアとスペインのオンライン違法医薬品購入の消費者認識の解析

COVID-19パンデミック中に医薬品の違法販売市場が拡大し、だまされやすい消費者が誤解を招くオンライン広告によって搾取されている。CAPSULEプロジェクトではイタリアとスペインの消費者の広告への暴露と行動を評価した。

消費者に合法と違法の両方の広告を混ぜてみてもらい、違法広告を正しく同定できたのはイタリア43%スペイン42%のみであった。

また高齢者は違法広告の同定能力が低いこと、若い人は医療の専門家への信頼が低くネット上の医療情報を頼りにする傾向があることなどから、集団ごとに調整した啓発キャンペーンが必要である。さらに以下のようなことが解析で示された

・ダイエタリーサプリメントと医薬品を区別できたのはたった1/3

・半分以上が医療情報をインターネットに頼っている

・2015-16年に比べると両国でオンライン医薬品購入が増加している

ソーシャルメディアが広告プラットホームとして新興している

・イタリアで最もよくオンライン購入されているのはインフルエンザ治療薬、次いで慢性痛とコレステロールの管理。スペインではパフォーマンス向上と減量用製品

報告書は以下

Project CAPSULE - Final Report - Transcrime - Transcrime

 

-タンポンの有害金属を測定した最初の研究が、汚染物質としてヒ素や鉛を示した

First study to measure toxic metals in tampon | EurekAlert!

3-JUL-2024

UC Berkeleyの研究者がEnvironment Internationalに発表した研究

(有害重金属のハザードを並べて、すべてのタンポンから検出されたと煽るプレスリリース。分析方法や検出された濃度の記載なし。

Tampons as a source of exposure to metal(loid)s - ScienceDirect

元論文によるとタンポンから0.2-0.3gを酸と電子レンジで溶かし、ICP-MSで分析。鉛は平均120 ng/g、ヒ素は2.56 ng/g検出。

経血や剥離した組織を吸収するためのタンポンから人体がどれだけこれらを吸収できるのか不明だが量としては食事由来のほうがはるかに多いだろう)

 

-加工肉摂取を減らすことには一連の健康上の利益がある

Cuts to processed meat intake bring a range o | EurekAlert!

3-JUL-2024

Wellcome Trustの資金提供によりエジンバラ大学がThe Lancet Planetary Healthに発表した米国CDCの全国健康調査データを用いたマイクロシミュレーション。

米国成人が加工肉の摂取を30%―週にベーコン約10枚相当―減らすと、何万人もの心血管系疾患と大腸がん患者が減るだろう

 

-コンパクトシティ二酸化炭素排出量は低いが空気の質が悪く緑が少なく死亡率が高い

Compact cities have lower carbon emissions, b | EurekAlert!

3-JUL-2024

ISGlobalによる919の欧州の都市を解析した研究。The Lancet Planetary Health

そしてヒト健康への悪影響があってもなんとかしてコンパクトシティを目指すべきと主張。

(Lancet Planetary Healthってヒト健康より「地球の健康(ってなんだ)」のほうが大事という雑誌?この評価軸なら東京が最も地球によい都市なのでは。)

 

-Natureニュース

何故高齢でがんリスクが急減するのか

Why cancer risk declines sharply in old age (nature.com)

By Heidi Ledford  02 July 2024

80才以上になると予期せぬベネフィットがある:マウスでの二つの研究によると肺がんリスクが減る。bioRxivサーバに投稿されたプレプリントはこのリスク低下に寄与する特異的遺伝子に光をあて、それが驚くことに鉄の代謝と関連することを明らかにした。この研究はまだピアレビューされていない。

この知見は一見常識に反する、がんは加齢に関連する病気で、多くのがんの診断は60-70代がピークである。しかしそれを過ぎると多くのがんの率は不思議と減る。

 

-あなたがGMOについてよく知っていればいるほど、安全だと受容する可能性が高いことを研究が示す

Study shows the more you know about GMOs, the more you accept them as safe (uada.edu)

June 21, 2024  By John Lovett

簡単な事実

・研究はゲノム編集になじみがあると安全性を認めることが増えることを示す

・米国で2021-2022年に行われた二つの調査

・Fronters in Bioengineering and Biotechnologyに発表

「私たちは根拠を提示しても意見は変わらないと考えてきた、しかしこの研究はゲノム編集でできる良いことを効果的に伝えられれば人々の認識が変わる可能性を示す」

(もともとGMOの安全性については専門家の間では意見はほぼ一致していて、活動家の嘘の宣伝が一般の人々の認識に影響を与えていることが問題だった。なのにアカデミアの欠如モデル批判がやたら強く、情報提供を阻害してきた。不足している情報を提供することが最初の一歩であることは確か。)

 

その他

心臓の健康に良いか誇大宣伝か?植物ベースの肉のほんとうのところ

Heart Health or Hype? The Real Deal on Plant-Based Meats | American Council on Science and Health (acsh.org)

By Mauro Proença — Jul 03, 2024

植物ベースの肉代用品は、豆・穀物・真菌の謎の調合品で、地球と私たちの動脈を救うと約束する。本当?

2022年のFuture Foods Journalによると植物ベースの肉はその技術開発の段階に応じていくつかに分類される

・伝統的肉代用品:豆バーガーのような、加工が少ないもの

・第一世代肉代用品:1990年代以降販売されている乾燥野菜プロテイン

・第二世代肉代用品:動物由来製品とよく似た最近の製品

第二世代肉代用品はパンデミック中に急増して2023年以降販売は低下している。理由の一つは値段。インフレ環境では厳しい。ほかの理由は、まだ味は完全に肉の代わりにはならないことと超加工食品だから不健康だとみなされること。加工だけで健康に悪いとは限らないが学会で議論が続いている。

Canadian Journal of Cardiologyに発表された逸話的レビューでは植物由来肉代用品(PBMAs)の心臓保護作用についての既存の根拠を調べた。

PBMAsは食物繊維と飽和脂肪で肉より心臓に好ましいがナトリウムが多いことが懸念となる

(略)

著者らの仕事から三つの結論が引き出せるだろう

・ソーセージや脂肪の多い肉のようなある種の肉製品を肉代用品に代えることは栄養上健康的選択にみえる

・脂身の少ない肉や白肉を置き換えても心血管系の利益をもたらさないかもしれない

・「健康的な食事」とはあるたんぱく源を別のものに置き換えることを超えたものであることを認識するのが重要。PBMAsに心臓保護作用があるかもしれないが、毎日食べればベネフィットがえられるわけではない。健康的な食事には一食のサイズや全体の組成が関係する