野良猫 食情報研究所

uneyamaが運営する食品情報サイトです

2024-06-17

[EU]SCHEER

ある種の医療機器にフタル酸類が存在することのベネフィット-リスク評価に関するガイドラインの更新WGの2024年6月7日の議事録

SCHEER - Minutes of the WG on the update of the guidelines on the benefit-risk assessment of the presence of phthalates in certain medical devices of 7 June 2024

e88f1f5b-e6d0-4e01-97d4-26e260de92ed_en (europa.eu)

最終文書が6月14日に採択され遅くとも6月18日までに以下に掲載されるだろう

SCHEER - Opinions - European Commission (europa.eu)

 

[EFSA]EU食品安全システムにおける根拠に基づいたリスクコミュニケーションのための行動ロードマップ開発

Development of a roadmap for action on Evidence‐based risk communication in the EU Food Safety System

14 June 2024

2021年3月にEFSAが発表した「リスクコミュニケーションの分野での技術補助」報告書では科学的根拠を推進すべき4つの分野として (1) 食品安全関連の虚偽の情報 (2) 透明性イニシアチブの有効性(3) 消費者のリスクとベネフィットのトレードオフに関する知見(4)認識と行動を結びつける要因、の概要を示した。その後のペーパー「EU食品安全システムにおける根拠に基づいたリスクコミュニケーション」では各研究分野の展望と目標をより明確化した。この二つの出版物の上に行動ロードマップが開発された。

提案された8つのプロジェクトは以下

・虚偽の情報を発見して対応するためのAIベースのソーシャルメディアモニタリングシステムと妥当性チェックポータル(VCP)の開発

・EFSAキャンペーン枠組みへのゲーミフィケーションを取り入れる

・補完的革新的アプローチ:ソーシャルメディアインフルエンサーの参加

・相談タイプのフィードバックのためのコミュニケーションツールキットの開発

・食品安全部門のリスク-ベネフィットコミュニケーションに関する研究を推進するためのコミュニケーションキャンペーン実施

・プラクティショナーと学者のデジタルネットワークを作る

・リスク認識と実際の行動の関連をテストするための新しい実験デザインの開発と評価を目的とした専門家の一連のワークショップを開催

・受け手のリスク認知へのEFSAによるリスクコミュニケーションと外部イベントの影響を評価するためのネットワーク解析アプローチを実施するためのモニタリングツールの開発

(コミュニケーション関連が多い)

 

[WHO]健康的な食事を推進するための財政政策についてのWHOガイドライン発表

14 June 2024

WHO launches new guideline on fiscal policies to promote healthy diets

ガイドライン本文

Fiscal policies to promote healthy diets: WHO guideline

砂糖入り飲料に課税する(強い助言)

健康的食生活に寄与しない食品に課税する(条件付き助言)

健康的食生活に寄与する食品に補助金を出す(条件付き助言)

(ほぼ何も言っていない報告書。表紙からは調理済み食品は買わせずに生の野菜果物を買わせたいらしいのだがそれってどこの貴族の食生活?季節や場所に関係なくいつでも新鮮な野菜果物が手に入るってどれだけ贅沢なことかわかっているのだろうか?)

 

[RIVM]脆弱な自然保護区の窒素堆積は減少しているが2035年までに法的基準は達成できない

Nitrogen deposition in vulnerable nature conservation areas is decreasing, but the legal standard cannot be met by 2035 | RIVM

14-06-2024

窒素削減自然改善法の2035年基準を達成するには、当初考えられていたよりはるかに窒素排出を抑制しなければならない。このことがRIVMの行った新しい計算で示された

Effect van nieuwe inzichten op het bereiken van de NPLG stikstofdoelen | RIVM

報告書本文オランダ語

 

[Codex]Codexは真のブルーに

Codex goes for true blue  | CODEXALIMENTARIUS (fao.org)

13/06/2024

食品添加物部会がJagua由来天然青色素のMLを採択Codex General Standard for Food Additives (GSFA, CXS 192-1995)に含まれる。コロンビア代表が国にとってポジティブな影響があるだろうと述べる

クチナシ青は?)

 

HHS-OIG(保健福祉省監察総監室)

乳児用調整乳の安全性と供給を確保するため、FDAの査察とリコールプロセスは改善すべき

The Food and Drug Administration’s Inspection and Recall Process Should Be Improved To Ensure the Safety of the Infant Formula Supply | Office of Inspector General | Government Oversight | U.S. Department of Health and Human Services (hhs.gov)

Issued on 06/10/2024 | Posted on 06/13/2024 

2021年2月のAbbott施設での内部告発に効果的に対応しなかったこと、2021年10月の内部告発を上にあげなかったこと、重要な査察の開始と期限を決めるための手法や方針を持たなかったこと、リコール開始の手法に十分な方針がなかったことなどを指摘。9つの助言を行った

 

[APVMA]プレスリリース

-オーストラリアとニュージーランドのハーモナイズされた動物用医薬品ラベルについてのガイダンス

Guidance on obtaining harmonised veterinary medicine labels in Australia and New Zealand | Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority (apvma.gov.au)

13 June 2024

ニュージーランド一次産業省(MPI)農業用化合物と動物用医薬品(ACVM)とAPVMAは両国で登録されている動物用医薬品にはハーモナイズされた表示を認めている。その要件を明確にする企業向けガイダンスを発表した。

 

-APVMAは互換性のある成分の決定をした

APVMA makes interchangeable constituent determination | Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority

Tersperse 4896と Tersperse 4894(界面活性剤)

Federal Register of Legislation - Agricultural and Veterinary Chemicals Code (Interchangeable Constituent) Determination 2024

 

Mcgil OSS

-エナジードリンクへの熱狂を冷ますべき時

Time To Dampen the Enthusiasm For Energy Drinks | Office for Science and Society - McGill University

Joe Schwarcz PhD | 13 Jun 2024

Red Bull や Monsterのようなエナジードリンクは活力を与えることができるがリスクがないわけではない

確かにF1世界チャンピオンのMax VerstappenはRed Bullを飲む。飲まなかったらどうなっていた?結局のところ彼はRed Bullレーシングチームのドライバーである。Maxはレースのある週末はエナジードリンクを6缶も飲むという

(以下略。宣伝が行き過ぎなので批判される)

 

-フェイシャルクリームとローションが瓶の中の希望を提供する

Facial Creams and Lotions Offer Hope in a Jar | Office for Science and Society - McGill University

Joe Schwarcz PhD | 14 Jun 2024

近頃は何が含まれるかではなく何が含まれないかで宣伝する製品が多い。いずれにせよ誰かの利益になる

化粧品は銅ペプチドや抗酸化物質やコラーゲンや牛の精子や竜涎香(クジラの吐き戻し)やキャビア胎盤抽出物や真珠の粉や蛇毒や鶯の糞を含むことを宣伝してきた。最近ではパラベンミネラルオイルや保存料やグルテンプロピレングリコールや、そしてついには究極の馬鹿げたことである化学物質を含まないことを宣伝しているものが同じくらいある。

プロピレングリコールを例に内容を検討してみよう(略)

さらにBASFの「Probiolift」について

動画

化粧品の成分について話そう

Let's talk about the ingredients in cosmetics | The Right Chemistry (youtube.com)

 

(EWGがおかしいのはいつものことにしてもBASFがかなりグレーな宣伝をするのが不思議。本業での信頼を失うことになるけれどそれでいいわけ?)

 

-高タンパク質ミルク:それはただのプロテインパウダーを加えたミルクではない

High Protein Milk; It’s Not Just Milk With Added Protein Powder | Office for Science and Society - McGill University

Daniela Padres | 14 Jun 2024

そしてボディビルをした乳牛由来でもない

全てのミルクは最初は乳牛から得て、殺菌してホモジナイズされる。国によって必須ミネラルなどが添加され、それから製造業者が各種ミルクを作る。最近の変わり種はタンパク質が多い高蛋白質ミルクで、これは限外ろ過で低分子の水などを取り除く工程を経る。結果として通常一回分当たり8gのたんぱく質のところを18g提供する。しかし高蛋白質ミルクは本当に必要なのか?一般の人はタンパク質摂取量は不足していない。アスリートなどでプロテインが気になる人たちの間に、プロテインパウダーの効果や安全性に疑問があって高プロテインミルクが魅力的に見えるかもしれない。どんなものでも最終的には取るかどうかを決めるのは自分である。

 

-日焼け止めの神話から身を守る

Protect Yourself Against Sunscreen Myths | Office for Science and Society - McGill University

Christopher Labos MD, MSc | 14 Jun 2024

皮膚から危険な化合物を吸収することにまつわる恐怖が基本になっているが、日焼け止めの安全性については何十年ものデータがある

TikTokのようなインターネットソーシャルメディアで「反日焼け止め」ムーブメントがあるのは懸念される傾向である。さらに日光の危険性が誇大宣伝されていて日焼止めは必要ない、あるいは日焼け色の肌のためには日光でやけどする必要があるという考えも増加している。このような誤解は現実的な脅威になる

 

-動画

Poppi と Olipop(商品名)の中身について

Cup o'Joe-The Poop on Poppi and Olipop (youtube.com)

2024/06/14

炭酸飲料にイヌリンなどの繊維を添加して砂糖を減らし「健康的」と宣伝している商品について

(Dr. Joeは果物やただの水のほうがいいと言っている)

 

極めて有毒でナチュラル!

Cup o'Joe-It's highly toxic and it's natural! (youtube.com)

リシンの紹介

 

THE LANCET

-Helicobacter pylori発見から40年:胃がん予防のためのピロリ菌根絶に向けて

40 years after the discovery of Helicobacter pylori: towards elimination of H pylori for gastric cancer prevention

THE LANCET VOLUME 403, ISSUE 10444, P2570-2572, JUNE 15, 2024

コメント

40年前のピロリ菌の発見は胃炎・胃潰瘍胃がんの予防と治療を革新し2005年のBarry Marshallと Robin Warrenのノーベル医学賞受賞につながった。この革新によって胃潰瘍は慢性疾患から治療可能な病気に変わり、再発率が減り各国で発生率や入院が減った。RCTでは前がん病変発生前のピロリ菌除菌は胃がんリスクを減らすことが示されており、次の目標はピロリ菌の削減あるいは根絶であろう。しかし最後の一歩の課題はあり、それをここで考察する。

 

-展望

潰瘍、ストレス、そしてピロリ菌の発見

Ulcers, stress, and the discovery of Helicobacter pylori

P2586-2587,

Christopher Crenner

臨床医Barry Marshall と病理学者 J Robin Warrenがピロリ菌とその有害影響の最初の知見を発表したのは1984年の6月16日のThe Lancetであった。有名な自己実験が根拠にある。2005年のノーベル賞までは、十二指腸潰瘍は現代生活のプレッシャーと職業ストレスのせいだとされたが今はもう上司のせいにしたり外科手術をすることはめったにない。

プロトンポンプ阻害剤の進化にも言及してほしいところ。それはそうと1960年代でも「現代社会のストレス」のせいという説が好まれた。「わかりやすい悪者」のせいにして思考停止してはいけない)

 

-オフライン:日本の秘密

Offline: Japan's hidden secret

P2578  Richard Horton

日本はこれまで国民皆保険のような素晴らしい医療制度と公衆衛生への国際的貢献などで大いに尊敬されてきた。なので国連総会での厚生労働副大臣Hajime Inoue医師の発言は幾分かの驚きであった。日本は脆弱な組織で最善の健康アウトカムを得ていてそれは日本の医療制度の中心的パラドクスである。日本は行動を変えるための研究を生み出す学位をもった研究者を必要としない、そうではなく保健師(public health nurse)のおかげだという

(一部のみ。論文書く人より現場で働く人や一般人のレベルの高さが日本の公衆衛生の肝だとは思う。だから学位がいらないというわけではないけれど、「医学博士」の学問としてのレベルの低さは有名だから)

 

その他

-WHOの関係者対話との戦い、パート1

The WHO’s War on Stakeholder Dialogue, Part 1: (substack.com)

DAVID ZARUK JUN 14, 2024

WHOが如何にして全ての企業を「健康を害するもの」と定義するか

最近のWHO欧州地域による出版物で、関係者との対話はしないことを宣言した。タイトルは「WHO欧州地域における非伝染性疾患の商業的決定要因」という報告書では、健康を害する産業(HHIs)をタバコ企業から全ての産業に拡大した。

この報告書は「病気の根本的原因として、力の不均衡と現在の政治経済システムに疑問を提示することが必須である」と述べる。そして全ての政府に、健康への害を与える製品を作っているどんな企業ともどんな接触も断つように―タバコ企業に対してやってきたように―勧める。

これについてFirebreakは5部からなる解析を行う

・第一部 この報告書でWHOが何を健康を害する産業とみなしているか

・第二部 これらの企業を関係者との対話や政策プロセスから排除することの意味

・第三部 WHOが権限と利益と搾取のため企業の社会的責任(CSR)と関係者対話の影響を弱めるやりかた

・第四部 関係者対話の代わりにWHOが持ち出してきた市民社会組織(活動家団体)とは

・第五部 どうして教育を受けたように見える人たちがこんな考え方をしてばかげた156ページの報告書を作ったのか

 

健康を害する産業(HHIs)とは?

明確に定義していないが要約部分で「タバコ、アルコール、食品、医薬品、ヘルスケア産業などが統合マーケティングキャンペーンを行って有害製品を使うことを魅力的で普通のことにしている…」と記載してある。またほかのところでHHIsには化石燃料企業、肉生産者、ソフトドリング業界、ギャンブル業界、銀行や金融機関、採鉱企業を含む…との記述がある

むしろHHIsではない産業はあるのか?除外されているのは軍事産業だけのようである。

WHOの報告は、利益を求める企業は公衆衛生のために行動しているわけではないので議論や意思決定の場から排除すべきであると結論している。

 

-SMC UK

動物での研究とヒトに認可された治療法の解析への専門家の反応

expert reaction to analysis of animal research and approval of therapies for human applications | Science Media Centre

JUNE 13, 2024

PLOS Biologyに発表された研究が動物実験とヒト応用を調べた

Francis Crick研究所グループリーダーFRS FMedSci、Robin Lovell-Badge教授

これは興味深い研究で基礎研究から臨床応用への道筋について改善につながる注目に値する問題を一部指摘している。

動物での研究はメカニズムの理解に役立つ傾向があり、一方ヒト試験は最初は安全性、次に有効性を検討する、つまり動物実験が直ちに治療につながるわけではない。動物実験で調べられた介入のうちたった5%しかヒトでの治療法として認可されていないという著者の結論、は、一見低いと思われるかもしれないが、研究されている介入の数が多いため多くの介入に臨床上の価値があるということであり、賞賛すべきであろう。ただRCTの失敗率の高さも注目に値する。さらにこの研究では探られていないが、動物実験なしで臨床試験されるたくさんの介入もまた失敗している

以下スペインSMCより

国立バイオテクノロジーセンターとCIBERER-ISCIIIの研究者Lluís Montoliu博士

動物実験はヒトの治療法開発に役立つのかという永遠の問についての新しいデータを提供しようとする研究は定期的に出てくる。そしてあらゆる結果が出る。

現在動物実験に反対する人たちの集団が大きくなり、彼らが動物実験を禁止しようとシステムとして働きかけている。そしてこのような研究結果を利用しようと高い関心をもっている。欧州規制では最終的には動物実験を廃止しようとしているがそれは科学的に可能になった場合であって今はまだそこに到達していない。

(以下長い説明略)

IDIBAPS-Hospital Clínic de Barcelona研究教授でCIBEREHD科学部長 – Carlos III健康研究所Jordi Gracia-Sancho

Madrid Complutense大学Francisco Javier Cubero免疫学・眼科・ENT教授

 

-スター科学者の「加齢を元に戻す」主張が同僚から批判される

Star Scientist’s Claim of ‘Reverse Aging’ Draws Hail of Criticism - WSJ

April 27, 2024

有料記事

Harvard の遺伝学者で2019年のベストセラー「Lifespan: Why We Age—And Why We Don’t Have To. 」の著者David Sinclair。Life Biosciencesという会社を作ってサプリメントを販売している。

Harvard's David Sinclair gets blowback over aging-reversal claim | STAT (statnews.com)

By Megan Molteni March 5, 2024

直接のきっかけは彼の会社のサプリが犬の加齢を遅らせるあるいは若返ったという主張らしい

(ちなみに彼が宣伝しているニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)はアメリカで新薬申請中のためサプリメントとして販売できないようだが日本では売られている。)