野良猫 食情報研究所

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2024-05-17

[FDA]FDAはタラ粉の市販後評価を更新

FDA Update on the Post-market Assessment of Tara Flour | FDA

May 15, 2024

本日FDAはヒト食品中タラ粉はGRAS基準を満たさず、未承認食品添加物であるとする決定をウェブに投稿した。FDAの評価は以下に詳細を記す。

Scientific Memorandum: Regulatory status and review of available information pertaining to tara flour (fda.gov)

連邦食品医薬品化粧品法FD&C Actでは、食品に使用されるあるいは使用する予定の成分はどんなものでも、それが適格な専門家によってGRASとされるか食品添加物の定義の除外に当てはまらない限り、FDAに認可されなければならない。未承認食品添加物はFD&C Actにより安全でないとみなされる。

2022年にDaily Harvestはリーキと豆のクランブル製品にタラ粉を使い、それは約400の有害事象報告に関連した。同社は自主的に製品をリコールし、独自の原因解析を行い、タラ粉が病気に寄与している可能性があると同定した。これまでFDAはタラ粉がアウトブレイクの原因である根拠を見つけていないが、この食品成分の法的状態を評価することになった。FDAの評価の結果タラ粉を食品として使うにはGRASとみなすための十分なデータも安全な使用歴もないことがわかった。

 

-科学的覚書:タラ紛についての規制上の状態と入手可能な情報

規制状態についての検討

・1958年以前に食品によく使われていた根拠

データベースになんの根拠も見つからなかった。したがって「食品として普通に使われているcommon use in food」基準を満たさない

・科学的手法による根拠(安全性のテクニカル根拠)

食品成分として使用することの安全性を支持する学術論文にはみつからない。むしろ肝毒性の臨床報告が多い。毒性に関与する可能性のある成分としてアミノ酸バイキアイン baikiainやガドリニウム汚染などが提案されている(研究は継続中)

全体の結論としてGRAS分類は満たさない。

従って普通の食品にタラ粉が添加された場合、それは未承認添加物であり、安全でない添加物が含まれる食品はFD&C Act 402(a)(2)(C)(i)の定義により異物混入adulteratedである。異物混入食品の販売は禁止されている。

 

(これはカプセルや錠剤でなくても継続的に食べるような食品に新規食品が使われると健康被害につながる可能性があることを示した重要な例。そしてアメリカには安全性が示されなければ販売できない、と判断できる法的枠組みがある。日本にはそれがなく、今のままだと紅麴サプリメントすら販売継続できてしまう(というか業界はそれを狙っている)。消費者庁が消費者を守るどころか害を与えようとするこの国で、消費者を守るにはどうしたらいいだろう?)

 

[EPA]消費者信頼レポート規則改定

Consumer Confidence Report Rule Revisions | US EPA

MAY 15, 2024

2024年5月15日にEPAは年次飲料水質報告を一般向けにより理解および入手しやすくするための消費者信頼レポート規則改定を発表した。2027年から報告書が読みやすく翻訳しやすくなる

 

[EFSA]意見等

-飼料添加物

Safety of the feed additive consisting of endo‐1,4‐β‐xylanase (produced with Trichoderma reesei CBS 143953), subtilisin (produced with Bacillus subtilis CBS 143946) and α‐amylase (produced with Bacillus amyloliquefaciens CBS 143954) (Avizyme® 1505) for…

Efficacy of a feed additive consisting of endo‐1,4‐beta‐xylanase and endo‐1,3(4)‐beta‐glucanase produced with Talaromyces versatilis IMI 378536 and DSM 26702 (ROVABIO® ADVANCE) for weaned piglets (Adisseo France SAS)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of 6‐phytase produced with Trichoderma reesei (CBS 126897) (Quantum® Blue) for fin fish (ROAL Oy)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of 6‐phytase produced with Trichoderma reesei (CBS 126897) (Quantum® Blue) for fin fish (ROAL Oy)

Statement on the toxicological properties and maximum residue levels of acetamiprid and its metabolites

Safety and efficacy of a feed additive consisting of Saccharomyces cerevisiae DSM 34246 (Canobios‐BL) for cats and dogs (ACEL pharma s.r.l.)

-香料グループ評価

・ナリンゲニン

Flavouring Group Evaluation 413 (FGE.413): Naringenin

-酵素

Safety evaluation of the food enzyme α‐amylase from the non‐genetically modified Bacillus licheniformis strain AE‐TA

Safety evaluation of the food enzyme sucrose phosphorylase from the genetically modified Escherichia coli strain LE1B109‐pPB129

-声明

アセタミプリドとその代謝物の毒性とMRL

Statement on the toxicological properties and maximum residue levels of acetamiprid and its metabolites

2023年9月にEFSAは発達神経毒性(DNT)の根拠に大きな不確実性があることからADIとARfDを 0.025から 0.005 mg/kg body weight (per day)に引き下げることを提案した。また葉物と果実作物についての残留物の定義をアセタミプリドとN-デスメチルアセタミプリド(IM‐2‐1)の合計をアセタミプリドとして表現することに改定した。豆/油糧種子、根菜、穀物については変更なし。この改定HBGVをもとに既存のMRLのうち38に消費者リスクを同定しMRL引き下げを推奨する。

(なお食安委

https://www.fsc.go.jp/emerg/acetami.pdf

ADI(一日摂取許容量※1):0.071 mg/kg 体重/日

ARfD(急性参照用量※2):0.1 mg/kg 体重/日

JMPR  ADI 0-0.07       ARfD 0.1             なのでほぼ同じ)

-キャンペーン

・PlantHealth4Life

The #PlantHealth4Life campaign is back, bigger and better! Europe unites to support plant health, biodiversity, and the economy

植物の病害虫を持ち込まないように啓発するキャンペーン

 

[FSA]英国成人の約6%が食物アレルギー、FSAの新しい報告書が発見

Around 6% of the UK adult population have a food allergy, new report from the Food Standards Agency finds | Food Standards Agency

16 May 2024

成人の食物アレルギーのパターンと有病率(PAFA)プロジェクトの報告書を発表

食品を食べたときに何らかの有害反応を報告する人は成人の30%以上いる。それをさらに臨床評価すると、英国成人の約6%が食物アレルギーであると推定された。英国では約240万人に相当する。

さらに以下のような知見を得た:

・ピーナッツや木の実のような食品が最もアレルギー反応を誘発しやすい

・りんご、もも、キウイのような生鮮果物にアレルギーのある人が多い。これらはカバノキ花粉に関連する

・乳、魚、エビ、貝のような食品へのアレルギーはあまりみられない

・子供の時のアレルギーは成人初期まで続き、その後約半分が成人後期にアレルギーを発症しさらに増加する

報告書全文

Patterns and Prevalence of Adult Food Allergy | Food Standards Agency

(大人と子供は違う、花粉症結構問題)

 

[ASA]ASA裁定

-Hangcure Ltd - ASA | CAP

15 May 2024

「二日酔いを治すHANGCURE 」を示唆する名前の会社の「二日酔いを治すHANGCURE REBOUND」を示唆する名前の製品のTikTokでの宣伝が基準違反

(ブランドや製品名も宣伝)

 

-Tonic Nutrition Ltd - ASA | CAP

15 May 2024

ビタミンサプリメントの宣伝。英国では認可された栄養と強調表示しか使ってはならない。他社の競合製品とのビタミン含量比較表の中に、ビタミンではないもの(例えばレイシキノコ)が含まれ、認可されていない。他社製品に「ジャンク」のような悪口を使うのは事実の比較を超えている、など

 

[NHS]ODSニュース

軍人のダイエタリーサプリメント使用

ODS Update: Dietary Supplement Use Among Military Personnel (govdelivery.com)

May 15, 2024

軍人はダイエタリーサプリメントの使用が最も多い集団のひとつで、一般市民より安全上の懸念となる製品、ボディビルやパフォーマンス強化、減量用、を使う可能性が高い。今月号のODS updateでは軍人のダイエタリーサプリメント使用とその有害影響についての研究を特集する。

 

[WHO]オンライン意見募集:2025-2030世界保健総会世界母と乳幼児栄養目標と工程指標

Online consultation: 2025-2030 World Health Assembly global maternal, infant and young child nutrition targets and proposal for process indicators (who.int)

13 May 2024

2024年6月21日まで

(目標の中には子供の栄養不良による衰弱や母親の貧血を減らすといった重要なものから砂糖入り飲料を飲んだことのある成人を減らすといったどうでもいいものまでいろいろ入っている。相変わらず生後6か月までは母乳以外認めない)

 

論文

-高血圧、高血糖、高BMIのような代謝関連リスク要因による健康状態の悪さや早期死亡を経験する人々の数は2000年以降50%増加した、新しい世界研究

The number of people experiencing poor health | EurekAlert!

 16-MAY-2024

世界疾病負担、傷害、リスク要因研究 (GBD)  2021の最新知見がThe Lancetに発表された

Global burden and strength of evidence for 88 risk factors in 204 countries and 811 subnational locations, 1990–2021: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021 - The Lancet

インフォグラフィック

Forecasts of disease burden through 2050 | Institute for Health Metrics and Evaluation (healthdata.org)

 

-先行公表 照射可能食品に関連する食中毒アウトブレイク、米国、2009-2020

Early Release - Foodborne Disease Outbreaks Linked to Foods Eligible for Irradiation, United States, 2009–2020 - Volume 30, Number 6—June 2024 - Emerging Infectious Diseases journal - CDC

CDC

食品照射が食中毒を予防できただろうという論文

 

その他

-EIT食品信頼報告書2023

EIT Food Trust Report 2023 - EIT Food

15 MAY 2024

EUが資金提供した消費者の食品バリューチェーンへの信頼調査

Ipsosが2023年8月から9月に18才以上の19642人の欧州消費者を調査。2018年から行われていて6年目。

食品部門への信頼(味、安全性、健康、真正性、持続可能性に関して)は45%

健康的で持続可能な食品選択をしていると回答する消費者は減少

安全性について52%が信頼しているが真正性は42%

 

-培養鶏肉の小売販売がシンガポールで始まっている

Retail sales of lab-grown chicken are now underway in Singapore | Food Safety News

By Dan Flynn on May 16, 2024

GOOD MeatがGOOD Meat 3という培養鶏肉製品をHuber’s Butcheryで小売販売している

培養チキン含量は3%で、植物タンパク質と組み合わせて味や食感を通常のチキンと同様にした冷凍製品で1パック120gでSGD 7.20

 

-農業省は控訴裁判所のゴールデンライス、Btナスの判断に抗議する

DA contests CA ruling on golden rice, Bt eggplant | Philstar.com

Jasper Emmanuel Arcalas - The Philippine Star  May 15, 2024

農業次官Asis Perezが農業省は控訴裁判所に再検討要請を行ったという。さらにもしそれが拒否されたら最高裁判所に上告するつもりだという

同時に規制システムの改善も行う

 

-グリホサートが攻撃されているため、科学者は有効で安全な代用品を探しているがうまくいっていない

With glyphosate under fire, scientists look for alternatives to the most effective — and safest — weedkiller in the world. It's not going well - Genetic Literacy Project

Andrew Porterfield, Jon Entine | May 15, 2024

昨年3月にメキシコ大統領Lopez Obradorが4月1日からのグリホサート禁止を先送りすると発表した。環境団体はがっかりし、米国からの圧力だと非難した。政府は「安全で毒性の低い代用品がみつかるまで」グリホサートはメキシコの農家の除草剤の選択肢であり続けるだろうという。グリホサート代用品に代わるには何年もかかるかあるいは見つからないだろう

(以下略。よりによって最も安全性の高い部類の除草剤を標的にしたことで「環境団体」が科学とは無縁であることが浮き彫りになっていると思うのだけれど。そしてこれほど根も葉もないことであっても政治や世論が動くので、コミュニケーションを疎かにしてはならないということも。)

 

-SMC NZ

「精密発酵」とNZ食品の未来-専門家の反応

"Precision fermentation" and the future of NZ food - Expert Reaction - Science Media Centre

16 May 2024

ニュージーランドのラボが間もなく乳牛なしで「乳と同じ」たんぱく質を大量生産開始可能

EPADaisy Lab に「精密発酵」の規模拡大申請を認可した。この場合、ホエイやカゼインのようなたんぱく質を発酵により作りだすように遺伝子組換えされた酵母で、最終製品にはGM生物は残らない

SMCは専門家のコメントを求めた

ノルウェー地域地方研究所研究教授Rob Burton博士

精密発酵はインスリンレンネットのような製品を作るために何十年も使われてきた。最近は食品部門のスタートアップ企業がミオグロビンやホエイ、カゼイン、コラーゲン、動物脂肪のような動物製品を作るための技術を開発している。現時点では農業には到底及ばない規模の生産量であるが、生産量を増やしコストを下げる努力は続いている。ライフサイクル評価では環境上の利益が示唆されている。しかし発酵には相当なエネルギーを必要とし、気候への利益が得たいなら、再生可能エネルギーの使用が必須である。NZは再生可能エネルギーが豊富なため可能性はある

AgResearch上級研究者Scott Knowles博士

EPAの決定はGMOを用いた精密発酵の相当な規模拡大を認める。酵母はこれまで長く使われてきたリスクの低い生物で、技術の理解と発展のために歓迎できる。精密発酵への投資や関心は高いが産業としてはまだスタートアップ段階で、国内外の多くの企業が製造能力構築と持続可能な微生物飼料確保に苦闘している。エネルギー消費が大きいため環境影響は検討の余地がある

Scionバイオ製品と包装ポートフォリオリードAlec Foster博士

EPAの決定を歓迎する

 

食品安全情報(化学物質)No. 10/ 2024(2024. 05. 15)

foodinfo202410c.pdf (nihs.go.jp)

目次

【WHO】

  • 出版物
  • 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】

  • 食料危機に関する世界報告書:59カ国において急性飢餓が依然高水準にあり、5人に1人が緊急対策を必要としている
  • FAOが世界食料フォーラム2024を開催
  • Codex

【EC】

  • 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
  • 【ECHA】
  • 6価クロム規制案、対象物質拡大へ

【EFSA】

  • ワンヘルス:EUの5つの機関が発表した活動のための共同の枠組み
  • 「Safe2Eat」2024キャンペーン:欧州全域の消費者に力を与える
  • Bernhard Url氏をEFSAの長官代理に任命
  • 食品添加物関連
  • 食品酵素関連
  • 遺伝子組換え関連
  • 香料グループ評価
  • 飼料添加物関連

【FSA】

  • リスク評価

【FSS】

  • 食品事故防止戦略計画2024-27
  • フードフレーションはスコットランドの財政に引き続き影響を与える

BfR

  • ビーガンやベジタリアンの食事は健康にどのような影響を与えるのか?
  • 大陸を越えて食品をより安全に

【ANSES】

  • 子供の不慮の重篤な中毒事例の最も一般的な原因は何?
  • 家庭用品は元の容器に入れておくこと!

FDA

  • 食品及びダイエタリーサプリメントの現行の適正製造規範(CGMP)
  • FDAは動物のゲノム改変へのアプローチを明確化する
  • EPAFDA、USDAがバイオテクノロジーに関する共同規制計画を発行する
  • FDAは動物用飼料指令をさらに明確にするためのガイダンスを最終化する
  • FDAは物理的検査なしの即時留置(DWPE)対象水産物のサンプリング推奨ガイダンス案を発表
  • パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)
  • 中小企業向けコンプライアンスガイド:食品への部分水素添加油の使用の取り消し
  • 警告文書

EPA

  • バイデン-ハリス政権、鉛中毒から子供たちを守るための大きな進展を報告
  • バイデン-ハリス政権、米国への投資アジェンダの一環として、安全な飲料水を促進するための鉛管交換に30億ドルを拠出すると発表

【USDA】

  • バイデン-ハリス政権、子供の栄養強化のための学校給食新規格を発表

【NIH】

  • ファクトシート

【Health Canada】

  • ガイダンス文書:補充食品に関する市販前申請プロセス

【FSANZ】

  • 食品基準通知

【TGA】

  • 安全性助言
  • 【MPI】
  • 最新の報告書はリコールシステムが機能していることを強調する

【香港政府ニュース】

  • ニュースレター
  • 食中毒警告
  • 違反情報
  • リコール情報

【MFDS】

  • 日本産輸入食品の放射能検査の結果
  • 食薬処、食品栄養成分統合データベースの構築完了、栄養成分情報の持続拡大
  • 単身世帯の食品添加物の摂取は安全な水準
  • 海外直輸入食品の国内搬入阻止原料・成分を整備
  • 新素材食品の原料生産現場を訪問
  • 食品医薬品安全処、消費期限表示制度普及のための現場点検
  • 食薬処、第3期食医薬消費者監視団コンシューマーアイズ発足式を開催
  • 食薬処、第1期「ジキリポーター」募集

SFA

  • リコール情報

【HSA】

  • HSA警告:ステロイドを含む強力な医薬品成分を含む3つの製品が発見された;消費者2人が有害事象を経験した

【その他】