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2024-04-16

[IARC]助言グループがIARCモノグラフ優先物質推薦

Advisory Group recommendations on priorities for the IARC Monographs – IARC (who.int)

12 April 2024

2025-2029のIARCモノグラフに推奨される優先物質助言グループ会合の結果がThe Lancet Oncologyに発表された

200以上の候補を検討した。

 

Advisory Group recommendations on priorities for the IARC Monographs - The Lancet Oncology

2024年3月22か国28人がリヨンで会合した結果

表1 優先順位高い

これまでモノグラフで評価されていないもの

  • ヒトがん・動物でのがん・メカニズム的根拠がある

ハロ酢酸を含む水の消毒副生成物、睡眠障害、ヘアストレートナー、金属加工液、肥満、プラチナを使う化学療法、フタル酸ジブチル、二酸化窒素、夜間人工照明、砂糖入り飲料摂取、GLP-1類似体、ホノホス

  • ヒトがん・メカニズム的根拠がある

Fusobacterium nucleatum、ヒトサイトメガロウイルス、動かないこと、超加工食品摂取、アントラサイクリン、BRAF阻害剤-dabrafenib・ encorafenib・vemurafenib、エピルビシン、テトラサイクリン、tofacitinibとその他のヤヌスキナーゼ阻害剤、パーフルオロヘキサンスルホン酸、大麻喫煙、超微細粒子、生殖補助医療、クロルピリホス

  • 動物でのがん・メカニズム的根拠がある

電子ニコチン配送システム、エストラゴール、カルバドックス、アラクロール、シフルトリン、シペルメトリン、マンコゼブ、ネオニコチノイド殺虫剤、テブコナゾール、ビンクロゾリン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、2,3-ブタンジオン、二硫化炭素、フタル酸ジイソノニル、グリシダミド、ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸、メタノール、オゾン、ペンタブロモジフェニルエーテル、トリクロサン、ゼアラレノン

  • ヒトがんの根拠

D型肝炎ウイルス、Salmonella typhi、タコナイト、テルブホス

  • 動物での根拠

メチルテトラプロール、プロキナジド、ブチルアルデヒド、塩化パラフィン、tris(クロロプロピル)リン酸

メタンフェタミンコンゴ赤、クメンヒドロペルオキシド、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、パラベン、電子廃棄物労働、ポリヘキサメチレングアニジン

 

既にモノグラフで評価されている

  • 新しいヒトがん・動物・メカニズム的根拠がある

染髪料、石炭ダスト、アセトアミノフェン、ざらつきのあるインプラント(胸や尻)、カルバリル、エチレンジチオカルバメート、ペルメトリン、ピレトリンとピレスロイド

  • 新しいヒトがん・動物での根拠がある

非イオン化放射線(高周波)

  • 新しいヒトがん・メカニズム的根拠がある

ヒトパピローマウイルスβ、 Opisthorchis felineus、屋内でバイオマスを燃やす、繊維製造業労働、無機鉛化合物、daunorubicin、ドキソルビシン、メトトレキセート、アトラジンおよびその他トリアジン農薬、アセトアルデヒド、アクリルアミド、メルケル細胞ポリオーマウイルス、クエン酸クロミフェン、プロゲステロンのみの避妊薬、クロルデコン

  • 新しい動物でのがん・メカニズム的根拠がある

多壁構造カーボンナノチューブ、フタル酸ブチルベンジル、5-ニトロo-トルイジン、4-ニトロトルエン、p-フェニレンジアミン

  • 新しいヒトがんの根拠がある

金属ニッケル、とても熱い飲料や食品、四塩化炭素、テトラクロロエチレン

  • 新しい動物のがんの根拠がある

ピペロニルブトキシド

  • 新しいメカニズム的根拠がある

Schistosoma japonicum、 Schistosoma mansoni、パツリン、サフロール、揮発性麻酔薬-isoflurane・sevofluraneおよびdesflurane、マラチオン、臭素酸化合物、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、イソプレン、フロランテン

  • グループ1発がん物質で新たながんの部位の根拠

Helicobacter pylori、アフラトキシン、戸外大気汚染、喫煙と受動喫煙シリカダスト、アスベスト、ホルモン補充療法、ラドンとその分解物、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド

 

表2以下略 

 

(これを使って弁護士が企業を強請るリスト、に見える。次に標的にされるのはどこか。もはや意味がないので無視すればいいのだけれど)

 

[Codex]CCCF17/パナマ大統領が汚染物質会合に開会あいさつ

CCCF17/ President of Panama gives opening speech for contaminants meeting | CODEXALIMENTARIUS (fao.org)

15/04/2024

 

[ANSES]トリフェニルリン酸、環境中の種にとっての内分泌かく乱物質

Triphenyl phosphate, an endocrine disruptor for species in the environment | Anses - Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail

10/04/2024

難燃剤や可塑剤として使用されているトリフェニルリン酸は主に魚でREACH規制による高懸念物質であると提案。ECHAのウェブサイトで2024年4月15日までパブリックコメント募集

Registry of SVHC intentions until outcome - ECHA (europa.eu)

 

[ANSES]ゴム製造に使用されるジフェニルグアニジンの分類強化

Strengthening the classification of diphenylguanidine used to manufacture rubber | Anses - Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail

05/04/2024

ECHAに生殖発達毒性と皮膚と目の刺激性で分類変更を提案

 

論文

-ネオテームステビアレバウジオシドMおよびショ糖で甘くしたビスケットの過体重/肥満成人での食後の食欲と内分泌反応への急性及び2週間影響-SWEETコンソーシアムの無作為化クロスオーバー試験

Acute and two-week effects of neotame, stevia rebaudioside M and sucrose-sweetened biscuits on postprandial appetite and endocrine response in adults with overweight/obesity—a randomised crossover trial from the SWEET consortium - eBioMedicine (thelancet.com)

オープンアクセス

イングランドとフランスの53人の健康な過体重/肥満成人での介入試験。Horizon 2020計画による資金提供を受けたSWEETコンソーシアム。

甘味料とショ糖の間に食欲や内分泌系などに意味のある違いはない。食後血糖とグルコースの反応は(当然)甘味料が下げる。

結論として甘味料の使用は健康増進の役に立つ可能性がある

(SWEETコンソーシアムは昨年は甘味料のほうが環境に優しいという報告もしている

ステビアベースの甘味料はより甘くより環境に優しい砂糖の代用品

Stevia based sweeteners offer a sweeter, more environmentally friendly alternative to sugar

15-FEB-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/979830

 

その他

-CNNのデカフェコーヒーの塩化メチレンへの有害な見解

CNN's Toxic Take On The Danger of Methylene Chloride in Decaf Coffee | American Council on Science and Health (acsh.org)

By Josh Bloom — April 15, 2024

(これまでの関連記事5つへのリンク)

化学物質が尽きない限り化学物質への恐怖は尽きないだろう。多くには根拠がないが、今回のコーヒーのカフェインを除去するために塩化メチレンを使うことへの恐怖扇動はあなたに有害だろう。数字をよく見れば話は違って、心配はない。

CNNのこのニュースは質の悪い科学報道の典型である。

Could decaf coffee cause cancer? Experts weigh in | CNN

By Kristen Rogers, April 5, 2024

環境防衛基金EDF)などがFDAにカフェイン除去に使う塩化メチレン(ジクロロメタン、DCM)を禁止するよう求めている。EDFがこの手のことを主張するのは初めてではない

私は有機化学の研究者として数千、数万回もDCMを使ってきた。この物質は溶媒として非常によく使われていて、より発がん性の高いクロロホルムの代用品となっている。

CNNの記事ではEDFの科学政策主任Maria Doa博士を引用して「塩化メチレンは発がん性のほかに高濃度では神経に影響し死ぬこともある」と書く。Doa博士は化学の学位をもちEPAで長く働いてきた。デカフェコーヒーに残留する塩化メチレンの量と大量の化合物の影響とはあまりにも量が違うが環境団体ではこれが常套手段である。

EDFは1958年のデラニー条項を理由に塩化メチレンの禁止をFDAに求めているが、デラニー条項は非科学的で、食品に添加される物質のみを対象にし天然物は無視する、しかしそれらは実際のところ区別できない。世界に存在するどんな化合物でも十分な高濃度では有害である。

FDAが現在デカフェコーヒーに認めている残留DCMは10 ppmであるが実際に含まれる量は、ブランドによっても異なるが、それより相当少ない。仮に2ppmだとしよう。12オンスのカップに21gのコーヒーを使ってすべてのDCMがカップに移行するとする。するとカップ一杯当たり0.042mgとなる。この量ではリシンですら致死的でない(致死量大体1mg)。

動物実験とがん

Regulatory Toxicology and Pharmacologyの包括的レビューによると

・DCMは吸入させるとマウスで肺と肝臓に腫瘍を誘発するがハムスターとラットでは誘発しない

・DCMの発がん性はマウスで強く、ハムスターとラットでそれよりずっと弱く、ヒトではさらにずっと弱い

・疫学データからはDCMのがんハザードは説得力をもって支持されない

飲水によるラットへの経口投与ではDCMは250 mg/kg体重/日まで投与しても腫瘍の増加は見られなかった

250 mg/kg体重/日というのはヒトではおよそ17g/日で、カップ一杯のデカフェコーヒーに含まれると計算した量の400万倍になる

EDFの、怖がらせるための評価よりさらに小さい値を出したのがEFSAのヒ素評価なのだが)

 

-「すべての人にとって健康的な食事などというものはない」:個別化栄養による個人の健康ニーズにこたえる

Personalised nutrition and individual health needs (foodnavigator.com)

15-Apr-2024 By Augustus Bambridge-Sutton

個別化栄養は個々人の特有の健康ニーズにこたえようとする。しかし健康ニーズはたくさんあるため、どうやって?

全く同じ健康ニーズを持つ人などいない。だから個別化栄養業界が発展した。しかし個別化栄養は本当に可能なのか?どうやって?

(以下この業界の人への取材)