野良猫 食情報研究所

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2024-10-01

[EU]農業食品偽装疑い月報

Monthly reports on EU Agri-Food Fraud suspicions

2024年8月

https://food.ec.europa.eu/document/download/6b5b3c4a-6f4f-481c-94ac-d028f46793a5_en?filename=ff_ffn_monthly-report_202408.pdf

IRASFF通知634件から222件を偽装疑いとして抽出

いつものオリーブ油とハチミツ、コーヒーなど

パキスタン産オーガニック米の遺伝子組換え

 

[ANSES]「無線周波数とがん」についての専門家評価報告書案がパブリックコメント

A draft expert appraisal report on "Radiofrequencies and cancer" submitted for public consultation | Anses - Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail

30/09/2024

ANSESが2013年に無線周波数暴露の健康影響評価を行ってから、新たなデータが多数発表された。そのためANSESは無線周波数電磁界への暴露によるがんリスクに関する専門家評価の改定に着手した。現在報告書の最終版を作成するために考慮する必要のある科学的意見を募集するパブリックコメントが行われている。2024年9月30日から10月30日まで。

(報告書案はフランス語)

[UK HSA]過去2年の冬は予防接種率が下がったため18000人がインフルエンザ関連死

18,000 flu-related deaths in past 2 winters as jab uptake falls - GOV.UK (www.gov.uk)

30 September 2024

UKHSA は DHSC と NHSとともに「予防接種で冬に強くなろうGet Winter Strong」キャンペーンを開始

最新のUKHSAのデータは過去2年の冬に少なくとも18000人がインフルエンザ関連死していることを示した。昨年の冬は比較的弱いインフルエンザシーズンだったにも関わらず。

パンデミックの制限によりしばらくの間インフルエンザは減っていたが、最新死亡率データはインフルエンザが恐ろしいウイルスであることを思い出させる。

真の懸念はインフルエンザ予防接種率が全年齢でその前の年より下がっていることである。

妊婦と高齢者にはRSV予防接種も提供されている。

パンデミックは予防接種の有効性を強烈に実証したのに反ワクチンが増加した。人文系の研究者にはこの現象を解明してほしいのだが)

 

[TGA]偽のオゼンピックペンが検出され有害事象が報告された

Counterfeit Ozempic pens detected and adverse event reported | Therapeutic Goods Administration (TGA)

30 September 2024

消費者と医療従事者は、偽のオゼンピックと表示されたペンがオーストラリアに輸入されたことに注意すべき。

偽のオゼンピックを使っったあとの命にかかわる有害事象の報告があった。この海外で購入したオゼンピックと表示されているペンにはインスリンが入っていた。

 

[CAFIS]CAFIAの洪水地域での食品の取り扱い助言

Czech Agriculture and Food Inspection Authority | CAFIA recommendation on handling of foodstuffs in flooded areas (gov.cz)

09/16/2024

現在の洪水の状況から、CAFIAは洪水に浸ったあるいは関連したダメージを受けた食品の安全な取り扱いについての基本的規則について注意喚起する。

(本文略。チェコの洪水。直接水に濡れなくても普段と違う湿気でストックしてある穀物などにこれからカビが生える可能性も指摘。停電もおこったらしいので被害は大きそう。)

 

[FTC]FTCは「無料お試し」とされるパーソナルケア製品とサプリメントに騙された消費者に280万ドル以上を返金

FTC Sends More Than $2.8 Million in Refunds to Consumer Deceived by Supposed “Free Trial” Offers for Personal Care Products and Supplements | Federal Trade Commission

September 30, 2024

2018年の申し立て

無料お試しに申し込んだはずが解約しにくい定期購入契約になっている販売手法。

 

[FDA]FDAは汚染の可能性があるため消費者にGreen Pharmaceuticals のSnoreStop鼻スプレーを使用しないよう警告

FDA warns consumers not to use SnoreStop Nasal Spray by Green Pharmaceuticals due to potential contamination | FDA

9/18/2024

 

-ホメオパシー企業が命を脅かす鼻スプレーのリコールを拒否、FDAがいう

Homeopathic company refuses to recall life-threatening nasal spray, FDA says | Ars Technica

9/20/2024

(事業としての登録はOTC製造会社。ほぼ詐欺のホメオパシー製品を売っている会社。)

 

[FSA]セミナー:思考の糧 英国の昆虫養殖:チャンスと課題

Food for Thought: UK insect farming: opportunities and challenges

https://events.teams.microsoft.com/event/772d7cf0-656e-45c2-90fe-5554419976df@8a1c50f9-01b7-4c8a-a6fa-90eb906f18e9

10月16日(水)

 

論文

-ラドンEPAガイドライン以下の量であっても子供の白血病に関連

Radon, even at levels below EPA guideline for | EurekAlert!

30-Sep-2024

Science of the Total Environmentに発表された米国での研究

(もともとEPAラドンに安全な量はない、と言っている。対策をとるべきガイドライン値が148Bq/m3としている。もしPFASと同じ理屈を採用するならこのガイドライン値は検出限界になるはず。できないだろうけれど。)

 

その他

-幹細胞サプリメントと錠剤の新しいレビュー

New review of stem cell supplements and pills - The Niche (ipscell.com)

By Professor Paul Knoepfler, Ph.D. / September 18, 2024

幹細胞サプリメントのファクトチェック。

要約

幹細胞サプリメントは幹細胞を刺激してあなたの健康を改善すると宣伝する。私の研究からはそのような主張を支持する確かな臨床試験データはない。幹細胞サプリメントにはリスクがあり値段が高すぎる。幹細胞生物学者として、そのような幹細胞サプリメントは使用せず、医師に相談することを薦める

私にとって驚きだったのは政府の臨床試験登録サイトに幹細胞とサプリメント臨床試験がたくさん登録されていたことだ。しかし同時にデータがほとんどなかった。データを登録していたある研究ではCD133+とCD34+細胞への影響をプラセボと比較していた。それは説得力のあるデータではない。

(美容業界がセラムとかステムセルとかの宣伝が多い印象。どう理解されているのかよくわからない)

 

-反フッ素活動家勝利を祝う

Anti-Fluoridation Advocates Celebrate | American Council on Science and Health (acsh.org)

By Susan Goldhaber MPH — Sep 30, 2024

画期的裁判所の判断で、飲料水中のフッ素が子供のIQへの「不合理なリスク」とされ、EPAはフッ素規制を見直さなければならない。反フッ素活動家は勝利を味わっている

フッ素を巡る論争は長い歴史がある。現在米国の人口の75%がフッ素添加水を使っていて虫歯の減少という恩恵を受け取っている。フッ素添加への反対は初期からあったが共産主義者の陰謀という説から現代ではEPAの基準4 mg / Lが安全でないと主張している。

今回の判決は2024年のNTP報告書に基づいていて、それがWHOの飲料水ガイドラインである1.5 mg / Lのフッ素が子供のIQ低下と関連するという。この報告書では米国でのフッ素濃度0.7 mg / LがIQへの影響と関連するかどうかには言及していない。

IQを指標にした研究には、IQテスト自体の誤差が両側で約5ポイントあると考えられているためにほとんどの研究で見られるわずかな増減は誤差の範囲内であるという欠点がある。

しかし裁判所は0.7 mg / Lのフッ素が子供のIQへの「不合理なリスク」と裁定した。

この判決は反フッ素活動家にとっては大きな勝利である。

この判断にEPAがどう対応するのかは興味深い。TSCAはリスクベネフィット解析を認めていないがフッ素濃度を下げると公衆衛生団体や米国歯科医師会と対立することになる。

(裁判所の説を採用するとお茶をよく飲むと頭が悪くなることになるのだがそれでいいのだろうか?)

 

-小児科医の肥満ガイドライン摂食障害リスクについての疑わしい根拠に基づいている

Pediatricians’ obesity guidelines misconstrued eating disorder studies (statnews.com)

By Kate Raphael  Sept. 16, 2024

子どもの肥満増加に対応するために、米国小児科学会(AAP)は昨年、かつてはリスキーと考えていたやり方を認めた。

これまで医師が体重に注目しすぎるとスティグマ摂食障害の種を撒くことになりかねないとの懸念から「経過観察」が標準だった。しかし今や「早い時期から最も強い介入を」推進すべきという。10代に肥満手術も行い、抗肥満薬の注射もする。わずか2才から強力な行動介入をすべきという。

AAPはこの積極的肥満治療は摂食障害を増やさないという科学的根拠があるという。しかしSTATとBerkeley大学ジャーナリズム大学院の調査報道計画の取材によると、各論文の著者は小児科学会が彼らの論文を誤用しているという。特に肥満治療後6年まで摂食障害が減るというAAPの主張には問題がある。

リスクのない解決法はない

(重度の肥満は摂食障害ではないの?アメリカの感覚がよくわからない。)