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2024-05-23

[COT]2024年5月21日の会合の議題

 COT Meeting: 21st May 2024 | Committee on Toxicity (food.gov.uk)

Last updated: 22 May 2024

食品添加物としての二酸化チタン(E171)の安全性に関する声明第5次案

Fifth draft statement on the safety of Titanium Dioxide (E171) as a Food Additive- Introduction | Committee on Toxicity

要約部分

導入

2022 年 8 月 7 日以前は、二酸化チタン (TiO2) は EU で認可された食品添加物 (E171) だった。現在、英国では引き続き認可されている。食品をより視覚的に魅力的にしたり、無色の食品に色を付けたり、食品の元の外観を復元したりするための色(白い色素)として食品に使用される。ベーカリー製品、スープ、ソース、サラダドレッシング、サンドイッチスプレッド、加工ナッツ、菓子、チューインガム、栄養補助食品、ケーキアイシングなどに一般的に使用される。

二酸化チタンは、2016年、2019年、2021年のEFSAによる最近の3つの評価を含む、複数の安全性評価の対象となってきた。

最新の意見書(2021年)で、EFSAは、TiO2ナノ粒子に関する免疫毒性、炎症、神経毒性に関するいくつかの知見が有害影響を示している可能性があると考え、現在入手可能な証拠と不確実性、特に解決できない遺伝毒性に関する懸念に基づいて、EFSAパネルは、E171を食品添加物としてはもはや安全とは見なされないと結論した。

これに続いて、2021年にCOTは二酸化チタンに関する暫定的な見解(COT、2021)を発表し、議論の結果を捉え、次のステップを概説した。食品添加物としてのTiO2の安全性を評価するために、食品、消費者製品、環境中の化学物質の変異原性に関する委員会(COM)からの変異原性に関する結論を含むレビューがCOTによって現在行われている。このレビューを以下に要約する。

2021年のEFSAおよびCOTの発表以降、TiO2のレビューは、カナダ保健省(2022年)、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)(2022年)、そして最近ではFAO/WHO食品添加物に関する合同専門家委員会(JECFA)(FAO/WHO、2023年)によっても実施されている。

 

キャラクタリゼーションとADMEに関する検討

特に食品では、TiO2の主な機能は乳白剤および白色色素である。この機能を実現するには、食品グレードのTiO2(E171)が、粒子径の中央値が200〜300nmの小さな一次粒子の集合体であることが重要である。人工ナノTiO2は、粒子の直径が全て100nm未満で無色であるため、食品用色素としての使用には適さない。

COTは、TiO2の物理的形態がTiO2の吸収と分布に影響を与えると結論した。使用される試験材料(ナノ、マイクロ、ナノとマイクロの混合物)に幅広い多様性が注目された。この大きなばらつきと、投与マトリックスが影響する可能性のために、COTはTiO2の吸収パーセンテージを設定できなかった。しかしCOTは、入手可能な根拠に基づいて、食品グレードのTiO2(E171)の吸収は低いと考えた。

COTは、ナノ粒子を含むあらゆる形態のTiO2を使用して実施された毒性学的研究をレビューしたが、その結論は主に食品グレードのTiO2(E171)を使用した研究に基づく。

 

拡張1世代生殖毒性(EOGRT)のレビュー

COTは、TiO2の安全性評価の一環として、二酸化チタン製造業者協会(TDMA)が食品基準庁(FSA)に提供したEOGRT(LPT、2020)をレビューした。この研究は、TiO2(E171)と生殖発生毒性に関する不確実性に関するEFSAの結論に対応して実施された。COTは、EOGRT研究が適切に実施されたことに同意した。

全体として、試験された最高用量(1000 mg / kg /日)まで、生殖毒性または発生毒性の証拠はなかった。.

 

COTで同定されたエンドポイントの毒性のレビュー

以下のエンドポイントは、最初にCOTによってレビューされ、次にCOTサブグループによってより詳細にレビューされた:異常腺窩巣(ACF)(発がん性の潜在的なマーカー)、炎症と免疫毒性、生殖および発生毒性、および神経毒性。COMは遺伝毒性データをレビューした。

COTは、TiO2が経口投与された研究、特に食事で投与された研究は、食品摂取によるTiO2へのヒト曝露に最も関連があると考えられるため、より重視した。

 

異常腺窩巣(ACF)

COTは、TiO2のみに曝露された一部の動物で少数のACFが観察されたが、ACFは他の研究(EOGRTなど)でTiO2に曝露されていない対照群にも存在していたため、必ずしもTiO2に起因するものではないと考えた。さらに、いずれの研究も、対照群または投与動物群において、ACF過形成と異形成を区別していなかった。COTは、TiO2がACFを誘発するという決定的な証拠はなく、結腸の増殖性病変への進行を支持する証拠もないと結論付けた。

 

炎症と免疫毒性

COTサブグループは、食事でE171 TiO2を投与したのはEOGRTを含む3つの研究のみであると指摘した(Riedle et al., 2020;Blevins et al., 2019;およびLPT、2020)。これらの研究では、炎症や免疫毒性となる有害影響は示されなかった。

食品グレードのTiO2を飲水でラットまたはマウスに投与した5つの研究(Talamini et al., 2019;Pinget et al., 2020;Bettini et al., 2017;Han et al., 2020;およびMortensen et al., 2021)がCOTによって検討された。いくつかの研究で、サイトカインと宿主防御遺伝子の発現の違いが観察されたが、研究間で一貫しておらず、経路活性化が普遍的ではなく、解釈や結論は困難であった。

炎症の誘発または調節とは異なる他の免疫毒性作用の可能性が報告されている。これらには以下が含まれるが、これらに限定されない:パイエル板、脾臓、末梢血単核細胞を介した腸内の免疫細胞媒介性炎症の誘導;抗菌ペプチドを含むより広範な宿主防御機構への影響;腸内細菌叢への影響;腸内の樹状細胞集団への影響;腸内のT細胞亜集団およびマクロファージ集団への影響;血漿リンパ球数および割合への影響;腸内の粘液層の破壊。

しかし、全体として、食品グレードのTiO2が免疫毒性や炎症で懸念があると結論付けるには十分な質の証拠が足りない。

 

生殖発生毒性

COTは、EOGRTの報告書が詳細であり、研究は関連する科学的ガイドラインに従って実施され、明らかな欠陥はないと考えた。精巣と精巣上体への局所的影響や右精巣の重量の差など、いくつかの小さな影響が観察されている。しかし、COTは、これらの変化は自然発生であり、毒性学的意味はないという著者の結論に同意する。

したがって、全体として、試験された最高用量まで、生殖および発生毒性の有害作用は観察されなかった。COTは、TiO2の吸収の低さが EOGRT研究で確立されたNOAEL(1,000 mg / kg bw/日)に寄与した可能性があると指摘した。

査読済み文献からのデータは決定的ではなかった。COTは、Warheit, Boatman and Brown, 2015および& Lee et al., 2019による研究が、全体的に最も質の高い追加研究であると決定した。COTは、TiO2が生殖毒性があるという強力な証拠はなく、これらの追加研究のNOAELはEOGRT研究のNOAELと一致していると結論付けた。

 

神経毒性

全体として、2021年の暫定ポジションペーパーに記載されているCOTの立場の変更を正当化する神経毒性に関する新しい証拠はない。神経毒性に関する研究結果は一貫性がないとCOTはみなした。EOGRT試験では影響は報告されておらず、このエンドポイントに関する他の試験のほとんどがナノ材料を使用していることを注記する。

EOGRT研究でのルーチンの規制のための組織病理検査は、他のいくつかの研究で実施された特定の神経組織病理検査よりも感度が低いと指摘した。神経毒性に関するこのCOTの意見は、EOGRTが食品グレードのTiO2の神経毒性の可能性はないと結論付けるのに十分な感度と妥当性があると考えたカナダ保健省の意見よりも保守的であることに注意。

 

ナノ粒子の影響

COTは、TiO2ナノ粒子が毒性に及ぼす影響については不確実性があると結論付けた。したがって、COTは、動物および/または人間が、食品グレードのTiO2に通常見られるよりも高いレベルのナノ粒子を含む試験物質に曝露された場合、毒性プロファイルとリスクが変化する可能性があると考えたが、どの程度、またはどのように変化するかは不明である。

COTは、入手可能な関連研究のデータは、TiO2がACFを誘発しないことを示しており、炎症と免疫毒性、生殖発生毒性、および神経毒性を評価した研究で有意な影響はなかったと考える。全体として、COTは、1,000 mg/kg bw/日のNOAELは頑健であると考えた。

 

COMによるTiO2レビューの遺伝毒性レビュ

COMは、TiO2の遺伝毒性を評価するために多くの研究をレビューした。

COMは、E171に含まれるナノ粒子画分の検討と特徴を適切に組み入れたデザインの質の高いOECD準拠の研究がないので、食品グレードE171の安全性の最終的な評価は困難であると述べる。また、OECDに準拠した高品質のデータセットが不足しており、これがTiO2のリスク評価におけるデータの矛盾と不確実性につながっていることも指摘した。(COM, 2024b. 未公開)。

COMの意見は、質の高い研究からのデータに基づいて、TiO2マイクロサイズまたはナノ粒子がin vitroまたはin vivoで遺伝毒性があるという証拠はほとんどないというものである。また、異なるラボで同じナノ粒子を使用した研究の再現性も欠けている。(COM, 2024a. 未公開)。

しかし、全体として、COMは、特に経口経路で、特にマイクロサイズのTiO2画分(文献のほとんどの研究はナノサイズの材料を使用している)による遺伝毒性に関連する健康上の懸念があることを示唆する文献はほとんどないと結論した(COM 2024b.未発表)。

COTは、COMの結論に同意した。

 

健康ベースのガイドライン値(HBGV)の導出

COTは、入手可能な根拠に基づき、1,000 mg/kg bw/日が頑健な出発点(POD)であると結論した。これは、EOGRT研究の結果と、同じ用量まで影響がないことを報告したWarheit et al., 2015bおよびLee et al., 2019による研究に基づく。他の研究でばらつきは認められるが、食品グレードのTiO2(E171)のPOD案を変更するものはない。

標準不確実性係数100(種間変動10、個体差10)がメンバーによって合意され、PODに適用され、HBGVは10 mg/kg bw/dayとった。この不確実係数をE171のNOAELに適用するのは、TiO2の吸収が低くTiO2粒子が代謝されないことを考えると、極めて保守的である可能性が高い。

 

[WHO]「すべての人が保健のために、すべての人のための保健」が第77回世界保健総会の土台をつくる

"All for Health, Health for All" sets the stage for the Seventy-seventh World Health Assembly (who.int)

23 May 2024

5月27日から6月1日

 

-出版物

世界中の行動科学:第3巻:公衆衛生

Behavioral science around the world: volume III: public health (who.int)

公衆衛生分野の行動科学の現状についての報告

71か国に調査を行い回答があったのは42か国、プロファイルできたのは24か国(日本含む)

日本は国の組織としては行動科学ユニットは存在しない、香川県つくば市横浜市の例がとりあげられている

(ナッジの話)

 

Codex

"A safe space for creating networks and talking about problems and needs" - Anne Beutling chairs CCEURO33  | CODEXALIMENTARIUS (fao.org)

22/05/2024

2024年5月27-31日のCCEURO33の議長Anne Beutlingとのインタビュー

 

[CFIA]企業への通知:タラプロテインパウダー(タラ粉)はヘルスカナダによる安全性評価を受けていない

Notice to industry: Tara protein powder (tara flour) not assessed for safety by Health Canada - inspection.canada.ca

September 28, 2023

CFIAは事業者にタラプロテインパウダー(タラ粉)あるいはこの成分を含む製品の販売や購入を避けるように助言する。

タラプロテインパウダー、タラ粉としても知られる、は新規食品(あるいは新規食品成分)に分類される可能性があるがヘルスカナダによる安全性評価は行われていない。

新規食品は新しい食品製品、つまり食品としての安全な使用歴がない、あるいは既存の食品から変更されたものである。食品医薬品規制ではヘルスカナダによる市販前の安全性評価が義務で、ヘルスカナダが摂取して安全だと決定しなければ新規食品の販売は禁止されている。

タラプロテインパウダーは、特定の条件で使用が認可されている食品添加物であるタラガムではない。

食品事業者の義務

全ての食品事業者は、製品がカナダの規制に確実に従う義務がある。ヘルスカナダの新規食品の安全性評価ガイドラインを参照すること

 

Guidelines for the Safety Assessment of Novel Foods - Canada.ca

FDAの決定関連。カナダは遺伝子組換え作物と同じ枠組みで新規食品も評価している。普通の交配でも相当変化があった場合には評価対象だったし、高圧殺菌のような新しい殺菌法も評価してきた。

食経験は「遺伝的に多様な大規模集団で数世代にわたって食事に一部として使われている」なので50年以上だろうか?迷ったら相談)

 

[VKM]ルチンとケルセチン―ノルウェーの人々へのリスク

Rutin and Quercetin – Health Risks to People in Norway - Vitenskapskomiteen for mat og miljø (vkm.no)

Commissioned: 04.12.2023 Published: 15.04.2024

エンジュの花とつぼみ由来のルチンとケルセチンを毎日摂取することはノルウェーの人々へのリスクとなる可能性があるかどうか評価する

これらの物質はダイエタリーサプリメントに加えられている。

(発表予定日過ぎているがまだのよう。日本では既存添加物かな?)

 

論文

-1940年代のミルク検体が抗生物質耐性に新たな光をあてる

Milk samples from the 1940s shed new light on | EurekAlert!

22-MAY-2024

コネチカット大学の研究者らが、抗生物質時代以前の検体からテトラサイクリン耐性菌を検出

Veterinary Research

 

-健康な青少年の約3%が市販のCBD製品を使っている、研究が発見

Nearly 3% of healthy adolescents use commerci | EurekAlert!

22-MAY-2024

2018年Farm Billによって米国でCBDが合法化されて以降、使用が拡大している。11-15歳の健康な青少年の約3%が医療あるいは健康関連目的で使用している

また毛髪検査でCBDを使用した参加者の23%からTHCが検出されていて、市販のCBD製品にTHCが含まれる懸念がある

Cannabis and Cannabinoid Research

 

-食事は進行乳がんに役立つ?すべての指標はポジティブ、研究者が言う

Can diet help with advanced breast cancer? Al | EurekAlert!

22-MAY-2024

乳がんステージ4患者30人を標準ケアと介入群にわけ、介入群は研究者チームが8週間、野菜、果物、全粒穀物、豆、ナッツ、ジャガイモのみの食事を提供した。肉や卵や乳のような動物食品と油脂を避け、マルチビタミンサプリメントを使用した。介入群は体重が減りコレステロールなどの要因が改善した。開始時の平均BMIは29.7。

l Breast Cancer Research and Treatment

 

-逃れたGMOキャノーラは長期残存するが余分な遺伝子を失っている可能性

Escaped GMO canola plants persist long-term, | EurekAlert!

22-MAY-2024

米国の、道端のキャノーラ調査で導入された農薬耐性遺伝子を失ったキャノーラを発見

PLOS ONEに発表

(栽培品種は野生ではあまりメリットないので広がらないだろうという説を裏付け)

 

-硬膜外麻酔は出産後の重大な合併症減少と関連

Epidural linked to reduction in serious compl | EurekAlert!

22-MAY-2024

硬膜外麻酔のアクセス拡大は母親の健康を改善する可能性があると研究者らが言う

The BMJ

(苦痛は少ないほうがいい、ということがなかなか日本のお産周辺では受け入れられないのはなぜだろう。母親が苦しんだり苦労したりすることを称賛しなくていいのに)

 

-農薬を使わない遺伝子組換えおよびゲノム編集作物:国連持続可能な開発目標と「よりグリーンな」緑の革命達成に向けて

Agrochemical-free genetically modified and genome-edited crops: Towards achieving the United Nations sustainable development goals and a 'greener' green revolution - ScienceDirect

Amjad M. Husaini, Muhammad Sohail

Journal of Biotechnology Volume 389, 20 June 2024, Pages 68-77

・現在の規制はGM食品を有機と表示したり有機認証製品にGMを使ったりできない

・誇大宣伝にも関わらず、有機製品はニッチ市場のままで、それは金持ちがより多くのお金を払うことで人為的に生きながらえている

・AIを使った環境に優しいロボット技術でGM農業を現代化し合成農薬を避けることで「よりグリーンな」未来が確保できるだろう

・生物肥料に反応するGM作物の開発は必要不可欠

 

その他

-Wanda Fishは培養クロマグロトロ刺身を開発し2025年に規制上の申請を行う計画

Wanda Fish's Cultivated Bluefin Tuna Toro Set for 2026 Launch (greenqueen.com.hk)

May 20, 2024

イスラエルの培養シーフードスタートアップ企業であるWanda Fishは3D植物マトリクスでマグロ細胞を培養してトロ刺身を開発した。

クロマグロは値段が高く、高濃度の水銀汚染があるため商機があると判断。

(日本が規制枠組みを作るだろうという希望的観測はいったいどこから出てきたのだろう?)

 

-消費者食品見解

CONSUMER FOOD INSIGHTS

Volume 3, Issue 3: March 2024

Report_202403-3.pdf (purdue.edu)

エキゾチックおよび培養肉への認識を調査(アメリカ)

選択肢が牛肉、鶏肉、ライオン肉、象肉、培養牛肉、培養鶏肉、培養ライオン、培養象

培養肉はあまり人気はない

エキゾチックを食べたいと思わない人は培養エキゾチックも食べたくはないようだ