野良猫 食情報研究所

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2024-06-28

[RIVM]Fairplay4Food。異なるたんぱく源の健康、環境、社会への影響を測定するシステムにむけた第一歩

Fairplay4Food. A first step towards a weighing system for the effects of different protein sources on health, environment and society | RIVM

2024-06-27

オランダ人は健康的で安全な食品に恵まれ長寿を楽しんでいる。オランダの食品は微生物・毒性学的には概ね安全ではあるが、現在の食生活は健康上の損失の原因となっている。また環境への負担でもある。

動物由来たんぱく質を減らして植物由来たんぱく質の摂取を増やすというたんぱく質移行が健康と環境の両方に役立つ可能性がある。そのような変化は健康と環境だけではなく経済や社会文化にも影響する可能性がある。

Fairplay4Food (Fp4F)はたんぱく質移行に寄与する多様なシナリオの影響を記述し、最善の選択肢を同定することを目的とする。

3つのシナリオをテストした:肉の値段をあげる/情報ナッジのスーパーマーケット戦略、消費者が豚肉を食べないシナリオ、農家が豚を生産しないシナリオ。後ろ二つがより好ましいことがわかった。

 

[HK]事業者向けニュースレター

Food Safety Express 97th Issue (06/2024) (cfs.gov.hk)

・食品中のグリシドールエステルを理解する

カンピロバクター

サルモネラ

・オンライン食品雑貨ショッピングガイドライン

 

[NASEM]子どもたちの離乳食を助ける

The National Academies Press | Digital Resource - Helping Children Thrive

DIGITAL RESOURCE | MAY 2024

保護者が、最初から健康的な食事を与えるための情報を提供されたうえでの決定をできるように助ける専門家向けガイダンス

 

[ODS]ニュースレター:女性健康イニシアチブカルシウムとビタミンD試験

ODS Update: Women’s Health Initiative Calcium and Vitamin D Trial (govdelivery.com)

June 25, 2024

1991年に構想されたWHIは科学と女性の健康への多くの貢献をしてきた。

最近では2024年5月にJAMAにManson らによるWHIの影響についての広い視点からのレビューが掲載された。結論として、著者は、試験の結果は、すべての閉経後の女性に骨折リスク削減のためのカルシウムとビタミンDサプリメントを定期摂取することを支持しないが、推奨される摂取量を食事からとれない女性にとってはこれらのサプリメントが適切であろうとしている。

またAnnals of Internal Medicineの2024年4月号にはThomsonらがWHIの長期健康アウトカム解析が発表された。全体的結果としてカルシウムとビタミンDサプリメントは閉経後女性の20年以上のフォローアップ後、がん死亡率を下げ心血管系疾患死亡率をあげた。

 

SCIENCE VOLUME 384|ISSUE 6703|28 JUN 2024

-ニュースを一目で

・成獣幹細胞論文取り下げ

Natureが2002年の、成熟マウス骨髄由来幹細胞の培養に関する4400以上引用された論文を取り下げた。2006年にNew Scientistが論文のデータが以前別の細胞で著者らが発表したものと同じである問題を指摘し、2007年に大学当局が調査し悪意のない間違いであるとしてNatureは修正を発表した。2019年に画像の重複が報告され先週取り下げられた。

・破壊者がゲノム編集作物を標的に

イタリアの初のCRISPR編集作物の野外試験が破壊された。リゾットを作るのにつかわれるArborioライスをゲノム編集でより真菌に強くした。5月に28m2のサイトに、周辺400m2は隔離して植えられたが先週破壊されているのが発見された。この実験は昨年イタリア政府が規制を緩和して可能になったものである。

・Nature雑誌の職員ストライキ

 

-特集

完璧な農薬?

THE PERFECT PESTICIDE?

BY ERIK STOKSTAD 27 JUN 2024: 1398-140

RNAで作った殺虫剤はより安全で標的を絞った作物の害虫への武器になる可能性がある

 

-書評

食品、冷蔵庫に出会う

Food meets fridge

1412

Nicola Twilley著「フロストバイト:以下にして冷蔵が我々の」食品、地球、そして自分自身を変えたかFrostbite: How Refrigeration Changed Our Food, Our Planet, and Ourselves」の書評

 

-政策フォーラム

食品生産用動物のワクチンの可能性を開放せよ

Unlock the potential of vaccines in food-producing animals

1409-1411

 

Natureニュース

-ブロックバスター肥満薬がどうして満腹感を作るのか―食品を食べる前ですら

How blockbuster obesity drugs create a full feeling — even before one bite of food (nature.com)

27 June 2024  By Mariana Lenharo

Scienceに発表された研究で、満腹感に関連する二つの異なるグループの神経細胞が記述されている

 

-CRISPR不要:変わり者の「ジャンプする遺伝子」酵素はDNAを切断することなくゲノムを編集する

No CRISPR: oddball ‘jumping gene’ enzyme edits genomes without breaking DNA (nature.com)

27 June 2024 By Heidi Ledford

今月NatureとNature Communicationsに発表された3報の論文で説明された技術

 

論文

-心不全の人に厳しい減塩を勧めるのはやめるべき時か?

Is it time to stop recommending strict salt r | EurekAlert!

26-JUN-2024

European Journal of Clinical Investigationに発表されたレビュー

Salt versus no salt restriction in heart failure a review (wiley.com)

(ほどほどの減塩が1日3-4.5gの塩、厳しい減塩が2-3gで、まあ無理だよね)

 

-ピーナッツアレルギーの人の脱感作療法の新しいガイダンス入手可能

New guidance available for peanut desensitiza | EurekAlert!

26-JUN-2024

英国NHSで働く医師向けのPalforzia® ピーナッツ経口免疫療法の実施ガイド。Clinical & Experimental Allergy.

Palforzia®は脱脂したピーナッツ粉末

 

-フィリップモリスインターナショナルは日本の学者にこっそり資金提供している

Philip Morris International has secretly fund | EurekAlert!

27-JUN-2024

リークされた文書がタバコ大企業が日本でこっそり資金提供することで科学と公衆衛生政策に影響を与えようとしていたことを示す

Nicotine and Tobacco Researchに発表されたBath大学の研究

京都大学の学者の禁煙研究に資金提供し、東京大学の教授に公衆衛生政策専門家ネットワーク構築のために資金提供していた

(食品企業のタバコ企業化ってこういう目で見られること)

 

その他

-マルチビタミン:高価なプラセボ

Multivitamins: An Expensive Placebo | American Council on Science and Health (acsh.org)

By Chuck Dinerstein, MD, MBA — Jun 27, 2024

毎年膨大な額を費やしているにも関わらず、約40万人の参加者の最新の研究はこれらカラフルなマルチビタミンは命を救うというより財布からお金を流出させるものである可能性を示唆

Johns Hopkinsによると米国成人の33-50%はマルチビタミンあるいはサプリメントを使っている。金額は毎年120から150億ドルのどこかである。USPSTFによるとマルチビタミンの全原因による死亡への影響は「ベネフィットや害を判断するのに不十分な根拠」である。そしてJAMA Network Openに報告された40万人以上164000人の死亡を含む新しい研究が、マルチビタミンの亡霊に最後のとどめを刺すだろう。でもどうかな。

この研究は三つの大規模研究を組み合わせた。1955年に始まったNational Institutes of Health–AARP 食事と健康研究 (NIH-AARP)、1993年に始まったProstate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial (PLCO)とAgricultural Health Study (AHS)。これらの研究はマルチビタミンの使用を研究したものではないので、研究者は調整“harmonize”が必要だった。結論に飛びつく前に“harmonize”の意味を考える必要がある。つまり研究によってマルチビタミン使用の分類が異なることや交絡要因を組み合わせて新たに分類する。この際に意図しようとしまいとバイアスが入る。

データを見ると、これらコホートは概して健康であるが90%以上が非ヒスパニックの白人であり米国の集団を真に反映してはいない。

MVを毎日使用している人は女性、大卒、非喫煙者、個別のサプリメントを使っていてBMIが低く食生活の質が高い傾向にある。MV使用者はより健康的ライフスタイルである。なので死亡率で利益が見られなかっただけではなく、毎日MVを使っている人が、使っていない人より4%死亡リスクが高いということに驚く。数値を信じれば、マルチビタミンはお金の無駄であるだけではなく死亡リスクをあげる。

この研究は人数は多いが限界もある

 

-環境に優しい食事の神話を打ち砕く

Busting five myths about eco-friendly eating :: Bianca Wassmann :: Setopati

Singapore, June 20

異なる食品の環境影響を決めるのは非常に複雑であるが食生活の基本的特徴がヒト健康と地球の両方に利益があることは明確である。野菜・果物・全粒穀物・豆・ナッツ・種子からカロリーの半分以上を摂取して赤肉やエネルギー密度の高い食品を制限する。しかし典型的西洋食は理想とは程遠く行動を変えるには障害がある。その最初のステップとして知識不足がある。ここに否定すべき5つの神話をあげる

1 肉の環境影響は誇張されている

2 オーガニックで地元産がいつでも持続可能

3 ナチュラルが良い

4 私にとって良いものは地球にとっても良い

5 地球を守るにはお金がかかる

(著者は環境心理学者)

 

-結論:WHOの全ての産業のタバコ化の動機

Conclusion: Motives for the WHO’s Tobacconization of all Industry (substack.com)

DAVID ZARUK JUN 27, 2024

何故責任あるリーダーとみなされる人たちがこんな無謀な戦略を提案するのか?

WHO欧州地域の非伝染性疾患の商業的決定因子報告書への批判シリーズの最後

この報告書の主な欠点として以下のようなことを指摘してきた

・ほぼすべての産業を「健康に害をなす」ものとすることで、公衆衛生にとって重要な関係者を政策議論の場から追い出す

・企業の参加を禁止することでWHOの作る政策が機能しないものになる

・WHOは企業のCSRと常識的関係者参加を絶え間なく攻撃する。企業のどんな行動もいいことはないという

・WHOは企業を公衆衛生対話から排除することでNGOなどの市民団体への資金提供を促す。しかしこれらの団体にも関心や資金源の問題はあり、企業の代用には貧弱すぎる

問題はどうしてWHOがこんな危険で愚かな戦略を支持するのか?である。

管理されていない過激派のサイロ

WHOは多頭のメデューサと化している

先導ではなく後塵

病気の因果関係についての見当違いの非難

あなたがハンマーの場合、すべてが釘に見える

個人への見当違いの不信

 この報告書は企業だけではなく個人も信用していない。人間は自分で健康上の選択ができないと考えている

あっちへ行け!我々は企業を必要としない、必要になるまでは。

WHOは官民協力モデルで公衆衛生を推進してきた。COVID-19対策も企業からの必要な物資の供給なしではできなかった

 

-キシリトールと心臓発作:心配すべき?

Xylitol & Heart Attacks: Should You Worry? - Dirt to Dinner (dirt-to-dinner.com)

By Hayley Philip June 27, 2024 |

新しい研究が砂糖代用品キシリトール脳卒中と心臓発作リスク増に有意な関連を明らかにした。ガムや練り歯磨き、甘味料のようなキシリトールとを含む製品の使用に心配すべきか?その研究をよく見て幾分かの健康のための知見を得よう。

クリーブランドクリニックの主導する最近の研究で、複数の病院の4000人以上のデータを解析した。数年にわたって集められたデータから、血中キシリトール濃度と脳卒中と心臓発作リスク増に関連が見つかった。しかしこの研究は参加者の食事摂取は扱っておらず、したがってそのキシリトール濃度が食事由来なのか内因性なのかはわからない。そしてこの研究はほどほどのキシリトール摂取の長期影響を評価することはできない。

この研究が発表されて以降、多くの消費者が全ての砂糖代用甘味料を一緒にして心臓発作と脳卒中への恐怖から全ての甘味料を避けるべきだと考えている。

これは問題で、消費者は情報を与えられていると感じて必要なものを選択できることが望ましい。証明されていない研究から悪いことばかり聞くのは役に立たない。

以下キシリトールと問題の研究の解説

最終的には野菜や果物やたんぱく質の多い多様な食生活を中心に、なにごともほどほどに。