[EFSA]意見等
農薬
・原因か嘘か:発達神経毒性における脳重量と体重の比
Causation or Canard: Use of Brain Weight to Body Weight Ratios in Developmental Neurotoxicity
DNT試験における脳重量の変化を体重当たりで換算することによって影響はないと判断するのは適切ではない
飼料添加物
[EU]化学物質安全性評価における動物実験―段階的廃止のための欧州委員会のロードマップ
Animal testing in chemical safety assessments – Commission roadmap to phase it out
2024年9月17日から10月15日まで根拠の要請が行われて91件のフィードバックがあった。それらが読める
(現時点で代替法が十分だと思っているところは活動家団体以外はほぼない模様。)
[FSANZ]食品基準通知
Notification Circular - 316-24 | Food Standards Australia New Zealand
11 November 2024
新規申請と提案
・GM大腸菌BL21により産生された酵素を使った酵素転換で生産したステビオール配糖体
[FDA]FDAは8つのGeneralスヌース(無煙タバコ)製品にリスク削減クレームで販売する認可を更新
FDA Renews Authorization for 8 General Snus Products to be Marketed with Reduced Risk Claim | FDA
November 7, 2024
FDAはSwedish Match USA, Inc.社の8つのGeneralスヌース製品の修飾リスク許可命令更新を発表した。2019年から認められていた「タバコの代わりにGeneralスヌースうを使うことでがん、心疾患、脳卒中、肺気腫、慢性気管支炎リスクを下げる」という修飾リスククレームで販売を」継続できる。2032年11月7日まで。
[DEFRA]英国化学物質規制に新しいアプローチ方法論(NAMs)を採用することについての助言
有害物質助言委員会(HSAC)
Recommendations for the Adoption of New Approach Methodologies (NAMs) in UK Chemical Regulation
November 2024 Version: 1
2012年にHSACがNAMsについての意見、伝統的動物実験を置き換えるほど十分に発達していない、を作成してから10年が経ち、更新した。
HSACは科学の進歩に従ってNAMsを化学物質安全性評価に徐々に取り入れるための枠組みの中でNAMSの基準を設定するよう提案
重要な助言には以下を含む
・化学物質の作用機序の理解に基づくNAMsの、技術に依存しない定義の採択
・グループ分けや優先順位づけから始めて、規制枠組みに徐々に検討されるNAMsの基準設定。
・ハザード評価での知見の確実性が増加するにつれて広範な規制上のNAMsの採用を利用する漸進的規制枠組みの採用。NAMsは既に化学物質のより高次の試験を行う優先化合物の分類支援に使用できる可能性がある
・技術改善を確実にするために英国にNAMsの開発と妥当性評価のための卓説センターと参照ラボを作る
・UK REACHの化学物質登録者に物質の作用機序を示唆するNAMsデータを提供することのインセンティブを与える
[FAO]不健康な食生活が世界の農業食料システムに毎年8兆ドルの隠されたコストを駆動する
Unhealthy dietary patterns drive $8 trillion in annual hidden costs of global agrifood systems
08/11/2024
世界の隠されたコストの約70%が非伝染性疾患に関連した健康影響、特により工業化された農業食料システムでは。
FAOの156か国の精細化研究で、世界の農業食料システムの隠されたコストは毎年約12兆ドルで、そのうち約70%の8.1兆ドルが不健康な食生活による非伝染性疾患に関連する
SOFA2024は2023年版をもとに食料生産と流通、消費に関連する完全なコストとベネフィットを明らかにするために真のコストを使って詳細に解析した。
世界の隠されたコストは健康影響が主で次いで環境上のコストで、中流上層と高所得国での工業化された農業食料システムでより多い。
健康影響を検討するために、13の食事リスク要因を同定した。全粒穀物、野菜、果物の摂取不足、塩、赤肉、加工肉の摂りすぎ、を含み各種農業食料システムで大きく異なる
この報告では農業食料システムを6つの異なるグループに分類した。
(日本は欧米先進国と一緒の「工業的」に分類。日本と米国が食事由来慢性疾患で同じわけないのだが塩と加工肉の摂りすぎを「加工食品と添加物の多い食事」にひとまとめにすることで同じにしている。ここでいう添加物additivesとは塩と砂糖とトランス脂肪のことらしい。なお理想的とされるパターンはEAT-Lancet)
The State of Food and Agriculture 2024
インタラクティブウェブサイト
The State of Food and Agriculture 2024
報告書
[WHO]イベント
動物由来食品の最適摂取に関する第一回WHO専門家会合
First WHO expert meeting on optimal intake of animal-source foods
11 – 15 November 2024
リスクベネフィット評価や環境影響を考慮した評価を行う
参加専門家のリスト
Informal Meeting on Neonatal VAS
(NOVAの推進者Maria Laura da Costa Louzadaは入ってるけど日本人はみあたらない)
Mcgill OSS
-リノール酸は悪役でもスーパーヒーローでもない
Linoleic Acid Is Neither Villain Nor Superhero | Office for Science and Society - McGill University
Jonathan Jarry M.Sc. | 8 Nov 2024
種子油によくあるオメガ6脂肪酸は矛盾する結果の研究が多くあり、我々の食べる食品を研究することの難しさを明らかにしている
Dr. Joe Mercolaが「代謝毒」「現代の食生活の中で最も悪い毒素」と呼びDr. Josh Axeがオーガニック由来なら健康な脳の機能を増強しし免疫系を強化し心血管系疾患リスクを減らすと主張するリノール酸を知っている?MercolaもAxeも信頼できる情報源ではない。
リノール酸は私たちの食事中で最も一般的なものであるが、その最適な摂取量を把握することはMercolaやAxeの言うことよりはるかに難しい。
脂肪摂取量の劇的変化
過去100年間で、北米の脂肪消費量は劇的に変化した。かつてはラードやバターのような動物性脂肪が食事を支配していた。1800年代に綿実油が食用になり、その後植物油やショートニングが広く使われるようになり、1909年から1999年にかけて、アメリカ人のこれらの不飽和脂肪の消費量は20倍に増加した。そのうちのトランス脂肪酸と呼ばれるものは心疾患リスクの増加に関連するため最終的に禁止された。一方オメガ6多価不飽和脂肪酸の一種であるリノール酸は健康に良いとされ、現在のアメリカ人は毎日平均12-17gのリノール酸を摂取していてこれは1日のエネルギー必要量の6%に相当する。
研究者たちはこの変遷が健康に与える影響を知りたい。
リノール酸の懸念の一つでMercolaが恐怖を煽る項目の一つは、リノール酸が炎症を促進する可能性があることである。炎症は正常なプロセスで、組織の治癒や有害微生物から身を守るのに有用である。しかし慢性的で過度の炎症は有害である。リノール酸は体内で炎症関連物質に代謝されるためにリノール酸の過剰摂取が慢性炎症を誘発するという理論上のリスクがある。しかしこの推測はデータによる裏付けがない。2012年のレビューで食事へのリノール酸の追加は血中炎症マーカー濃度を増加させる根拠は見つからなかった。リノール酸が炎症関連分子に代謝される可能性があるからといって代謝されるとは限らない。代謝経路が既に飽和しているかもしれない。一方リノール酸のような脂肪酸が心血管系に良いという主張もある。
これらの重要な健康問題に対する確実性の欠如の理由は、世界中の栄養科学で見られるものと同じである。私たちはリノール酸そのものを食べているのではなく、リノール酸などの脂肪を含む、未調理と高温に加熱された油の両方を消費する。私たちは健康に悪影響を及ぼすリスクを増減させるさまざまな分子を摂取していて、食生活は年々変化する。観察研究はたくさんありるが、因果関係を証明することはできない。一方参加者に特定の食事を強制する臨床試験は実施が困難である。これらの複雑さが、曖昧さを生む。
科学者たちは、リノール酸の日常的な摂取量目標をまだ知らない。
その一方でこの100年にわたるリノール酸の消費量の増加が変わってきた可能性がある。現在、多くの種子油はリノール酸含有量を減らすために改変され代わりにオメガ9一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸をより多く含んでいる。たとえば、高オレイン酸ひまわり油は、オレイン酸がリノール酸ほど酸化しにくいため、保存安定性が高いという利点もる。これらの油が普及するにつれて、人々のリノール酸消費量は減少する。
重要メッセージ
-リノール酸はナッツや植物油に含まれるオメガ6脂肪酸で、西洋では過去100年間で消費量が劇的に増加した
- リノール酸が慢性炎症を引き起こさず、心臓や血管の健康に良いという十分な根拠がある
- リノール酸が私たちの健康に及ぼす影響の全容はまだわかっておらず、科学者たちは私たちの食事に最適な量がどのくらいかについて意見が一致していないが、一般的な推奨は、2,000カロリーの食事でリノール酸から100〜200カロリーであり、これは米国の平均消費量と一致している
(一部のみ)
-Nutrafol;抜け毛の聖杯か高額サプリメントか?流行中の脱毛サプリメントの論争
Daniela Padres | 8 Nov 2024
最近Nutraceutical Wellnessの急成長サプリメント、Nutrafolについて。
いくつかの製品があるが全てミネラル、ビタミン、天然物で構成されている。例えばNutrafol Womenには、アシュワガンダ、マリンコラーゲン、トコトリエノール、クルクミン、ノコギリヤシ、昆布、レスベラトロール、つくし、ケラチン、アミノ酸、黒胡椒、トウガラシ、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、亜鉛、セレン、ヒアルロン酸などが含まれている。問題はこの混合物が機能するかどうかだが、6か月のRCTなど二つが報告されている。これらの研究の参加者のベースラインの栄養状態が考慮されていないため結果の一般化は難しい。有効性を判断するのはもっと多くの試験と妥当性検証が必要である
-動画
紙コップに含まれる紙以外のもの
Cup o'Joe-There is more to paper cups than paper
2024/11/09
紙コップがリサイクルできない理由
論文
-健康を求心力として維持するために、我々は健康に関する誤情報と意図的デマに取り組むリソースをつぎ込まなければならない
To keep health as a unifying force, we must put resources into tackling health misinformation and disinformation
Jessamy Bagenal et al.,
THE LANCET Comment Volume 404, Issue 10465 p1792-1794 November 09, 2024
近年健康がこれまでになく分断されていてもはや求心力ではなく分断圧になっているのではと疑問が提示されている。その原因の一つはデマである。
最近の現代医学の大きな傾向は状況を悪化させる。一つはソーシャルメディアの興隆と寿命延長の停滞が高所得国で同時に起こっている。二つ目は長期管理の必要な慢性疾患への取り組みは主流医学では苦闘し費用の高さが不確実性を増している。三つ目は差別の歴史からの不信の遺産。その結果患者がウェルネス業界のような別の情報源を求める
-日焼けベッドへのアクセスと使用が特定地域での悪性黒色腫の率の高さを駆動している
Tanning bed access and usage are driving high | EurekAlert!
7-Nov-2024
Journal of Investigative Dermatologyに発表されたニューイングランドでの空間疫学研究。
日焼けベッドのある施設へのアクセスが良いことと悪性黒色腫の率の増加に有意な関連がある。
その他
-10の検査室が10頭のBandhavgarhの象を殺したカビを同定する
10 labs to identify fungus that killed 10 Bandhavgarh elephants | Bhopal News - Times of India
P Naveen / TNN / Updated: Nov 7, 2024,
インドのBandhavgarhトラ保護区で10頭の野生の象がKodu作物のカビ毒で死んだ。毒性の専門家は死因を確認したが、その毒素を作ったカビがまだ同定されていない。インド中の専門家がその真菌が新たな脅威かどうかを知るために協力して分析している
死体の臓器や消化管の内容物から各種毒素や重金属を調べ、農薬や重金属は検出されなかったが全てのプール検体からシクロピアゾン酸を100ppb以上検出した。正確な量を調べるためのさらなる検査が行われている。
象が食べたKoduはBandhavgarhの内側の土地7エーカーにわたって広がっていた。調査官は異常な増殖に気が付いたが農薬はみつかっておらず、農家も使っていない
-「さらに4年のカオス」か「歴史的チャンス」か?食品と農業団体のTrump勝利への反応
Food & ag organizations respond to Trump victory
November 7, 2024 Elaine Watson
詳細は不明なので不確実性は残る
各団体のコメント紹介
(畜産業界が民主党政権でひどい目にあってきたのが共和党になって喜んでいるようだ)
-林業従事者や農家は、健康や科学へのデマにも対抗したい
Foresters and farmers want to combat health and science disinformation too
Dr. Andrea Love Nov 09, 2024
オレゴン州食料とシェルター年次会合での発表から
私は選挙の結果と、トランプ氏に近い一部の人たち(例えば、RFK Jr.、マーク・ハイマン、ミーンズの兄弟)に権力が与えられたことの意味について書くつもりだ。私は現在オレゴン州食料とシェルター年次会合の招待講演のためにオレゴンにいる。この会議は地元の農家、林業者、州政府の役人、規制当局、科学者、および農業と天然資源に関係するその他の人々が集まる会議で、民主党員と共和党員が同じ部屋で話し合いをする。そこでの私の発表と、フィードバックや議論の一部も共有したい。
・オレゴン州の農家と林業従事者は、科学デマの影響を受けている
デマを拡散しているのはVani Hariのようなインフルエンサーや、RFK Jr.のような訴訟で金儲けをするペテン師、Moms Across America、Environmental Working Groupなどの反科学活動家団体。
・農薬や現代の農業ツールに関する恐怖に基づくメッセージは有害
オレゴン州ではオーガニック食品のほうが優れているという間違った信念が実害を及ぼしている (ブルーベリー農園を例に有機農業による、合成農薬より毒性の高い硫酸銅の使用と収量減についての解説)
・グリホサートは他のどんな代用品より農家と地球にとって安全
・RFK Jr.はグリホサートと農業バイオテクノロジーを悪魔化し、利益を得た
・農家や林業従事者は多くが共和党員だが次期政権でRFK Jr.を心配している
・それは農家が望んでいることではない。そして健康を増進したい人々の望みでもない
(RFK Jr.がどうなるかは党派に関わらず注目されている)