野良猫 食情報研究所

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2024-11-03

[WHO]出版物

-非伝染性疾患と傷害のモニタリング:20都市のベースライン評価

Monitoring noncommunicable diseases and injuries: a baseline assessment in 20 cities

31 October 2024

大気汚染、アルコールコントロール、薬物過剰使用予防、健康的食生活の推進、道路の安全性、安全な歩道や自転車道路、タバコ規制、病気やけがのサーベイランス、などを評価

(イギリスはロンドンで日本は愛知県大府市。何故?

例えば「(オピオイド解毒剤)ナロキソンがすぐ手に入る」「不健康な食品の宣伝規制」とかがないから低評価になるのとか、気にする意味がない。

健康的な食事推進の評価項目が、不健康な食品の販売規制、子供向けや公共の場で販売される食品の栄養基準、販売される食品を健康にするための政策、都市計画、全ての公共機関で無料の飲料水提供。)

 

-魚摂取のリスクとベネフィットについての合同FAO/WHO専門家協議会合報告書、ローマ、2023年10月9-13

Joint FAO/WHO expert consultation on the risks and benefits of fish consumption: meeting report, Rome, 9–13 October 2023

25 October 2024

 

-ある種の食品添加物の安全性評価:第97回JECFA

Safety evaluation of certain food additives: prepared by the ninety-seventh meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA)

25 October 2024

二酸化チタンの規格改定、香料3グループなどを含む

 

[ANSES]どの作業工程が職業がんリスクに関係する?

Which work processes involve a risk of occupational cancer? | Anses - Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail

24/10/2024

ある種の労働条件や労働環境はがんの原因となる。労働者をよりよく守るために、発がん性はどうやって同定できる?ANSESは発がん性のある工程を同定する方法を開発しそのうち3つの発がん性を評価した。また今後数年で専門家評価の必要な工程の優先リストを作成した。

規制対象とするための新しい発がん性行程の同定法

発がん性の化学物質や製品の分類はCLP規制で定義されているが、発がん性のある労働者の状況や工程は対象になっていない。そのような工程の例は溶接や研磨、紫外線にばく露される戸外作業、夜間労働などがある。そこでANSESは2021年から2024年の間にいくつかの専門家評価を行った。

そして発がん工程を同定・評価する方法論を開発して出版した。

この方法論を使って3つの工程を評価した

・細胞毒性のある医薬品への暴露を伴う労働 抗がん剤18種

・溶接のヒュームにばく露される作業

多環芳香族炭化水素にばく露される作業 揚げ物

 

動物や植物を油で調理すると放出されるものにばく露される作業を発がん性と認識

揚げ物調理で温度が上昇すると、脂肪や食品の物理的および生化学的変換が促進され、PAH、微粒子、超微粒子、多数の揮発性有機化合物が放出される。揚げ物からの排出物の組成は、揚げ方と温度、使用する油脂、調理時間、揚げる食品の種類、調理に使用するエネルギー源によって異なる。

2010年、IARCは高温での揚げ調理からの排出物を「おそらくヒトに対して発がん性がある」と分類した。ANSESによって得られた更新データは、ヒト肺がんを誘発する物質の可能性があるとしてこの分類を裏付けた。評価後、ANSESは、次の3つの揚げ調理について、動物性または植物性油脂で揚げることによる排出物への曝露を含む作業を発がん性工程の規制リストに追加することを推奨した:フライパン、炒め物、ディープフライ(つまり、食品が完全に油につかっている)。

 

ANSESは、揚げ物の排出物の発がん性または職業暴露を評価するための研究が東南アジア以外で発表されていないことを強調している。これは、フランス、そしてヨーロッパで、多くの労働者が関係しているにもかかわらず、調理による職業暴露への認識に疑問がある:INSEEによると、2021年末にフランスのケータリングおよび農業食品部門で1,400,000人以上が雇用されていた。

したがって、ANSESは、フランスまたはヨーロッパでより広く実施されている慣行を考慮に入れた、揚げ物排出物への曝露を伴う作業に関連する危険性、曝露、およびリスクに関する知識を生み出すための調査または研究を実施することを推奨する。

 

評価対象となる他の15工程のリスト

既に評価された3工程に加えて他に15を特定していてそのうち3つは優先事項となっている

・太陽光と紫外線への暴露を伴う作業

・消防士

・夜間労働

 

15の工程のリスト(フランス語)

AVIS et RAPPORT de l'Anses relatif à l’établissement d’une liste hiérarchisée de procédés à expertiser pour une éventuelle inclusion dans l’arrêté français fixant la liste des substances, mélanges et procédés cancérogènes

 

(さすがにIARCを全面的に支持するフランスだけある。「規制」ってどうするんだろう?これまでのCLP規制(発がん性と分類されるとリスクではなくハザードのみで判断される)と予防原則から導かれるのは油を使ったりフランベしたりするのはやめて茹でるか蒸す以外の料理をするなとか?農作業も夜間労働もできないならどうすれば?)

 

[ANSES]豚と鶏の腸内微生物叢中の病原性細菌のヒト健康影響を理解する

Understanding the impact of pathogenic bacteria in the intestinal microbiota of pigs and chickens on human health | Anses - Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail

29/10/2024

ある種の細菌や化合物は豚と鶏の腸内微生物叢に影響する。それら要因の研究はカンピロバクターサルモネラのようなヒト病原微生物に農場レベルで対策するのに役立つ可能性がある

(一部抜粋)

豚の腸内微生物に影響する要因の一つはカビ毒のデオキシニバレノール(DON)で、DONはサルモネラと同時に与えると体重が少なくなる

 

Science Volume 386|Issue 6721|1 Nov 2024

-英国の戦後の砂糖需要が甘い食事の害を確認

Britain’s postwar sugar craze confirms harms of sweet diets

Catherine Offord  p. 475

砂糖の配給の終わりが糖尿病と高血圧の率を増やした

1953年に英国は第二次世界大戦中に始まったキャンディや砂糖の配給制をやめて甘いものを食べられるようになった。甘党はキャンディ店に押し寄せ家庭料理はより甘くなった。一年以内に国の砂糖摂取量が2倍になった。

今回研究チームがこの急激な変化から生後初期の食事の長期健康影響をあざやかに示した。1950年代の食品調査と砂糖の販売データとUKバイオバンクデータベースの成人の医療記録を組み合わせて、1953年以降妊娠あるいは生まれた人の何十年か後の2型糖尿病と高血圧のリスクが高いことを発見した。

Exposure to sugar rationing in the first 1000 days of life protected against chronic disease | Science

Tadeja Gracner et al.,

成人の1日平均砂糖摂取量が1953年の41gから1954年の80gに急増し維持された、とある。バターの配給制も1954年に終わってマーガリンからバターに変わったものの脂肪摂取量全体にはあまり影響しなかった。砂糖が増えた理由の一つに果物缶詰とドライフルーツの砂糖、シリアルの砂糖添加がるとされている

(砂糖だけ急増するというのがよくわからないのだが)

 

ニュース特集

-分野のジレンマ

A field’s dilemmas

By Kai Kupferschmidt

デマの研究は爆発的に拡大している。しかし科学者はいまだに基本的課題に苦闘している

  1. デマとは実際何なのか 合意された定義がない
  2. 全てのことが政治的
  3. 有害影響を同定するのは困難
  4. データを持っているのが企業
  5. 問題は世界的なのに研究はそうではない

 

-あなたは信じないだろうが

You won’t believe this

By Kai Kupferschmidt

研究者らはデマの「予防接種」を試みている

プレバンキング研究の現状

 

-噂クリニック

The rumor clinic

By Kai Kupferschmidt

Center for an Informed Public(情報を与えられた人々のためのセンター)でKate Starbirdがリアルタイムで嘘を追跡しカウンターする

 

Natureニュース

-抗肥満薬が関節炎に生活を変える利益をもたらす

Anti-obesity drug has life-changing benefits for arthritis

30 October 2024  By Traci Watson

臨床試験の参加者がひざの痛みが和らぎ、より元気に活動できるようになったという

セマグルチドはオピオイドと同等の痛みの緩和を提供する

New England Journal of Medicine

長期展望には懸念がある、通常薬物を中止した後体重がリバウンドすることと、一か月数百ドルという値段の問題。

(普通に体重があんなにあったら関節に負荷がかかるだろうと思うけれど今まで認めていなかったわけ?)

 

-子どものころに甘党だった成人の糖尿病リスクが高い

Diabetes risk soars for adults who had a sweet tooth as kids

31 October 2024  By Heidi Ledford

英国の1950年代の砂糖配給の研究が、妊娠中に砂糖の多い食事をした母親の子供のリスクも示唆する

Science

 

SMC UK

第二次世界大戦後のデータを使って子宮内と人生早期の砂糖配給が成人期の慢性疾患リスクを減らす研究への専門家の反応

expert reaction to study on sugar rationing in utero and early life reducing the risk of chronic disease in adulthood using post-WWII data | Science Media Centre

October 31, 2024

Scienceに発表された研究が、人生の最初の1000日の砂糖配給と成人になってからの慢性疾患リスクについて調べた

London Metropolitan大学栄養と健康准教授Hilda Mulrooney博士

これは興味深くタイムリーな論文である。

子宮内での食事の影響の可能性については長い間認識されていて多数のメカニズムが提唱されてきた。この研究では第二次世界大戦による配給の自然実験のデータから、子宮内と人生の初期に砂糖の配給にばく露された人とそうでない人との間に有意な影響を観察した。このことは子供時代の初期の食事が慢性疾患のリスク要因となる可能性を強調する。

この研究は因果関係を証明しない。それでも強い研究である。避けられない弱点は歴史的データに依存していることや砂糖だけが変わったわけではないことなど。

Oxford Brookes大学食事と栄養講師Jerusa Brignardello

プレスリリースは科学を反映しているか?

エス

これは質の高い研究科?結論はしっかりしたデータに支えられているか?

興味深い研究であるが結果の解釈には注意が必要である。1950年代の栄養環境は現在とは相当違う。UK- Biobankの参加者は国民を代表するものではない

この研究は既存の根拠に沿っているか?

胎児起源仮説を支持する

著者らは交絡を考慮しているか?限界は?

エス

Kings College London栄養科学講師Katie Dalrymple博士

この研究は健康と疾患の発達起源(DOHaD)仮説を支持する

Oxford大学Radcliffe医学部糖尿病医学と健康政策教授Amanda Adler

研究者らは自然実験を活用して配給制だった時期に受胎した人々の病気の率が低いことを観察した。しかしそれが砂糖が原因かどうかはわからない。配給制が終わったときに他の習慣も変わった可能性がある。

この研究は妊娠または授乳中の母親の正しい砂糖摂取量を調べることを促す。

 

Mcgill OSS

-フランケンシュタインの本当の物語

The True Story of Frankenstein | Office for Science and Society - McGill University

Joe Schwarcz PhD | 30 Oct 2024

フランケンシュタインは怪物でも医師でもない。ハロウィンに真の物語をみてみよう

1816年のMary Shelleyの古典は通常ホラーと考えられているが、実際は科学が道を踏み外した結果についての思慮深いファンタジーである

 

-Kellogg博士がSeinfeld(となりのサインフェルドアメリカのTVコメディドラマ)を見たら?

What if Dr. Kellogg had watched Seinfeld? | Office for Science and Society - McGill University

Joe Schwarcz PhD | 1 Nov 2024

John Harvey Kellogg博士は多くの点で時代を先取りしていたが、奇妙な考えをもっていた。さらに性欲は生殖にのみ用いるべきだと信じていた

となりのサインフェルドがテレビ放映される100年前にバトルクリークの療養所を運営していたKellogg博士は、性行為、特に自慰が健康に悪いと固く信じていて、性欲を減らすための菜食を解毒剤として処方した。食に関する彼の主張は現在の環境保護主義者の主張と同じである。彼自身は菜食主義を貫き、夫婦は自分たちの子供ではない42人の子供を養育し8人を養子にした。Kellogg博士は一般の人々の間でフレーク状の朝食シリアルを開発したことで最もよく知られる。Kellogg博士は弟のWillとシリアルに砂糖を加えることに関して対立し、最終的にWillがケロッグシリアル会社を設立して甘いシリアルを販売して大金を稼いだ。兄にとっては悪夢だった。

(他いろいろ)

動画

Dr. John Harvey Kellogg's questionable theories | The Right Chemistry

 

-Fümのエッセンシャルオイルは吸入しても安全か?

Are Füm’s Essential Oils Safe to Inhale? | Office for Science and Society - McGill University

Jonathan Jarry M.Sc. | 1 Nov 2024

Fümのニコチンを含まない風味付き吸入装置は禁煙の役にたつと約束する。しかしそれは無害か?

重要メッセージ

・Fümはニコチンや加熱装置を含まない受動的装置で、使用者はエッセンシャルオイルを吸入し、禁煙の役に立つという

・しかし禁煙効果に関する研究はない

・安全だと宣伝しているが、多数の現実的および理論的リスク(アレルギーから気道への有害影響まで)が存在する。そしてヒト安全性研究がない。

 

その他

-Sense about Science

2024年Maddox賞候補者発表

2024 Maddox Prize shortlist announced - Sense about Science

8名がノミネート

11月6日ロンドンで受賞者発表

(科学者の論文不正を暴いた功績に対して、が複数いる)

 

-世界トランスジェンダー健康専門家協会(World Professional Association for Transgender Health、WPATH)のWHOトランスジェンダー健康ガイドラインへの関与をめぐって論争が発生

Dispute arises over World Professional Association for Transgender Health’s involvement in WHO’s trans health guideline | The BMJ

BMJ 2024;387:q2227  30 October 2024  Jennifer Block (フリーランスジャーナリスト)

昨年12月、WHOがトランスジェンダージェンダーの多様な人々の健康に関する初めてのガイドラインの委員会を発表したとき、「ジェンダー肯定」アプローチが重視されている(自認する性を重視して手術やホルモン投与を積極的に行う)ように見えた。それは100人以上の臨床医からWHOへの大量の文書につながり論争となった。委員のほとんどがWPATHやGlobal Action for Trans Equality(GATE)と関連するメンバーだったからである。またガイドラインがどの程度根拠に基づくものになるかにも懸念がある

(WHOのガイドラインが活動家の政治的主張の場になっている現状の例として。科学じゃないことが多すぎる)

 

-チャールズ国王とカミラ王妃が治療のためにベンガルールを秘密訪問

King Charles, Queen Consort Camilla on secret Bengaluru trip for treatment

31 October 2024 Edzard Ernst

チャールズ国王が国王になってから初めてインドを訪問

Soukya 国際ホリスティックンヘルスセンター (SIHHC)でヨガと瞑想を行い若返りとデトックス治療を受けたと報道されている。

(もともとお気に入りで国王になってからは初めて、ということらしい)

 

-コンシューマーラボ

製品レビュー:SAMeサプリメントレビュー

SAMe Supplement Review & Top Picks - ConsumerLab.com

October 31, 2024

ベストなSアデノシルメチオニンサプリメントを選んで節約しよう

9製品の検査で失格はなかったが値段は大きく異なった