野良猫 食情報研究所

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2024-10-10

[FDA]最近の未熟児と壊死性腸炎についての助言委員会報告書についてのFDA, CDC, NIHコンセンサス声明

FDA, CDC, NIH Consensus Statement on Recent Advisory Council Report on Premature Infants and Necrotizing Enterocolitis | HHS.gov

October 3, 2024

報告書はNECに対して母乳に保護作用があることと、未熟児用調整乳がNECの原因であるという決定的根拠はないことを示す

(以下略

問題がより明確になっているAAPの声明を参照)

 

-AAP

FDA, CDC, NIH:根拠はNECの原因として、未熟児用調整乳ではなく、母乳の欠如を指摘

FDA, CDC, NIH: Evidence points to lack of human milk, not specialty formulas, as cause of NEC | AAP News | American Academy of Pediatrics

October 9, 2024

FDAとCDCとNIHはNECのリスク増加に関連するのは、未熟児用ミルクではなくて母乳の欠如であるという仮説を根拠が支持するという。彼らは未熟児用ミルクは母乳が選択できないあるいは十分でない乳児にとって重要であることを注記する。

今年初め、乳児用調整乳企業2社が、裁判所がミルクのせいで未熟児がNECになったと判断したために数百万ドルを支払うように命令された。この判決や同様の訴訟は未熟児用ミルクの入手可能性を脅かす。

AAP臨床報告は超低体重の乳児の栄養源としては、適切に強化された母親の母乳を薦めている。代用には殺菌された他の人の母乳で、次が乳児用調整乳である。一部の家族にとっては未熟児用のミルクが最善の選択肢になる。

AAPはミルク会社への訴訟が、未熟児にとって重要な栄養源である調整乳の入手可能性を脅かすことを懸念している。

「乳児のケアのための臨床助言を決めるのに裁判所は最善の場所ではない」

(「根拠に基づいた医療」ではなく「判決に基づいた医療」が行われるとみんなが不幸になるのは日本も同じ。医療だけではなく、科学に関する判断を裁判所が間違えることはよくある。)

 

[ASA]ASA裁定

-Kerry Foods Ltd - ASA | CAP

09 October 2024

映画が公開されたタイミングでのガーフィールドを使ったCheestringsの宣伝が子供を標的にした脂肪塩砂糖の多い食品の広告となり、基準違反

(ほぼチーズ、もお菓子と同じ扱い)

 

-PlymGlow Ltd - ASA | CAP

09 October 2024

日焼けサロンが医師の指導下でなく日焼けでビタミンDが増えるので骨粗しょう症や健康上利益があると宣伝することは基準違反

 

[COT]2024年10月24日の会合

 COT Meeting: 21st October 2024 | Committee on Toxicity (food.gov.uk)

Last updated: 08 October 2024

議題

・2024年9月3日の会合の議事録

Draft Minutes of the 3rd September 2024 COT Meeting | Committee on Toxicity (food.gov.uk)

(NAMに関するディスカッションは注目)

・消費者使用後のPETを食品と接触する物質にリサイクルする工程の安全性評価についての助言文書案

・植物ベースの飲料についてのSACN/COT合同報告書案への意見募集の結果

・英国飲料水基準開発支援のためのアンチモンの健康ベースのガイドライン値導出

・母親の食事中のシトリニン

・他のFSA科学助言委員会の活動報告

 

[FSA]更新12: FGS Ingredients Ltd社は表示されていないピーナッツのための多数のマスタードパウダーをリコール

Update 12 FGS Ingredients Ltd recalls a number of products containing mustard powder because of undeclared peanuts | Food Standards Agency

9 October 2024

対象製品追加

 

[ANSES]green peach(アオモモ?)アブラムシがネオニコチノイド殺虫剤に抵抗する仕組み

How green peach aphids resist neonicotinoid insecticides | Anses - Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement et du travail

07/10/2024

ANSESと英国Exeter大学の共同研究により、二つの異なるメカニズムで耐性をもつことが明らかになった。一つは製品の作用機序に基づくもの、もう一つは分解に基づくものである(受容体の構造を変えることと代謝酵素の誘導)

二つのメカニズムの相乗作用で240倍の抵抗性

 

Natureニュース

-食べる量を減らすと長生き:膨大なマウス研究が理由を示す

Eating less can lead to a longer life: massive study in mice shows why (nature.com)

09 October 2024  By Elie Dolgin

減量と代謝の改善では厳格な食事制限のベネフィットを説明しない

実験動物でのこれまで最大規模の研究のひとつが、食事制限による長生きについてのこれまでの常識に疑問を提示する

Natureに発表されたマウス約1000匹の研究。

約40%のカロリー制限は長生きさせるが、間欠断食やより軽い制限でも平均寿命は延びる。カロリー制限で体重が最も減ったマウスは若くして死ぬ傾向があった。最も寿命に関連したのは免疫系と赤血球の機能と、遺伝子にコードされていると考えられるストレスへの全体的レジリエンスであった。

Dietary restriction impacts health and lifespan of genetically diverse mice | Nature

Andrea Di Francesco et al.,

オープンアクセス

 

-「海のコカイン」―高級食品が生態系を混乱させている

‘Cocaine of the seas’ — how a luxury food is wreaking ecological mayhem (nature.com)

09 October 2024  By Jo Chandler

「魚の浮袋」市場が急成長し、絶滅危惧種が危機に瀕している。研究者らは被害を抑えようとしている

アジア、特に中国南部の消費者が魚の浮袋を珍味、伝統薬、富の象徴として高額で買っている。今やふかひれやナマコより高く、犯罪組織の儲けになるため海のコカインと呼ばれている。

パプアニューギニアが最も人気のある産地になっている。魚の浮袋は「漁業のゴールドラッシュ」のようである。貴重種であるNibea squamosaの浮袋には1kgあたり最大15615米ドルの値段がついている

(長い記事)

 

その他

-疑似科学議員総会

The Woo-Woo Caucus Meets - The Atlantic

By Elaine Godfrey  September 24, 2024

(有料記事、出だしのみ)

Robert F. Kennedy JrがTrump同盟者が主催する「健康と栄養」のイベントに登場したことで、健康志向とインチキの一致が明らかになった。

MAHA(アメリカを再び健康にする)同盟の怪しさについて

 

-デマと人々の激しい抗議は健康と安全性を害する:パラベンケーススタディ

Misinformation & public outcry harms health & safety: the paraben case study (substack.com)

Dr. Andrea Love Oct 10, 2024

パラベンは安全な保存料である

しかしスキンケアや美容用品に「パラベンフリー」表示はよくある。どうして?

理由は化学物質への根拠のない恐怖扇動で、それが悪化したのは2004年に大々的にメディア報道された質の悪い研究である

Journal of Applied Toxicologyに発表されたこの研究はピアレビューで却下されるべきだった。しかしがん、ホルモン、化学物質というキーワードで注目された。

この研究はヒトの乳がん組織からパラベンを検出したというものである。次のような問題点がある

  • 対照群がない 健康な乳腺組織は測定していない
  • 生物学的妥当性がない 凍結組織中のパラベンの存在以外何も示されていない。がんの進行度とも関連がない
  • 測定値が0 ng/g から8 ng/gと極めて微量で、ブランク(バックグラウンド)のほうが高いものがしばしばある。これはデータの信頼性がないことを示す
  • 関連であって因果関係ではない

それなのにデマは勢いを増した。恐怖を増した理由の一つはパラベンがホルモンかく乱物質であるという主張である。

パラベンエストロゲン作用は弱く、実際の暴露量では活性はあり得ない。しかし一旦「内分泌かく乱物質」「合成化合物」とレッテルを張られたらそれに対抗するのは極めて困難である。

世界中の安全性や毒性評価機関は化粧品中のパラベンは安全に使用できると結論している。しかし何十年にもわたる安全性を確認するデータはメディアのデマを止められない。一部の皮膚科医すらデマ拡散に加担する。

人々の抗議により企業はより効果や安定性の低い、より高価な代用品に切り替えている。一部の企業は保存料そのものを使用しないことにして微生物汚染によるリコールがおこっている

科学に関するデマの影響は雪だるま式に拡大する

(趣旨の抜粋)