野良猫 食情報研究所

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2024-09-16

[EFSA]食品や食品成分製造に抽出溶媒として使用されるヘキサンの安全性再評価の必要性に関する技術報告書

Technical Report on the need for re‐evaluation of the safety of hexane used as an extraction solvent in the production of foodstuffs and food ingredients

13 September 2024

 

[BfR]ナノ物質:小さな粒子が多様な性質を仲介する

Nanomaterials: Tiny particles mediate manifold properties - BfR (bund.de)

FAQ dated 13 September 2024

2021年10月18日付のFAQを更新

法的定義についてや現在進行中のプロジェクトなど

 

[IARC]IARCモノグラフ134巻:アスパルテーム、メチルオイゲノール、イソオイゲノール オンライン発表

IARC Monographs Volume 134: Aspartame, methyleugenol, and isoeugenol – IARC (who.int)

13 September 2024

4月29日にアスパルテーム部分だけ先行発表していた

 

[ProMED]食中毒-ベトナム(第22報):(HA TINH)キノコ疑い、情報求む

Foodborne illness - Viet Nam (22): (HT) mushroom susp., RFI

2024-09-15

https://promedmail.org/promed-post/?id=8718785

Date: Sat 14 Sep 2024 Source: VN Express [in Vietnamese, trans., edited]

森で採取した奇妙なキノコを食べてHuong Khe地方の5人が頭痛と吐き気を生じ4人が入院した。医師はキノコ中毒を疑っている。食べたキノコは同定されていない。

 

[IAEA]日本の、福島の土壌リサイクルと破棄計画は安全基準に合致する、IAEAはいう

Japan’s Fukushima Soil Recycling and Disposal Plan Meets Safety Standards, IAEA Says | IAEA

10 Sep 2024

2011年の福島第一原子力発電所事故後の除染由来の土壌と放射性廃棄物の再利用と破棄に関する日本のアプローチはIAEAの安全基準と一致する、とIAEAが本日発表した報告書がいう

IAEA assistance to the Ministry of the Environment, Japan on ‘volume reduction and recycling of removed soil arising from decontamination activities after the Accident of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station’ - FINAL REPORT ON THE EXPERTS MISSION

 

除去土壌の再生利用等に関する国際原子力機関(IAEA) 専門家会合最終報告書の公表について | 報道発表資料 | 環境省 (env.go.jp)

 

論文

-電子タバコブランドはインスタグラムでの健康警告表示規則を回避している

E-cigarette brands are skirting the rules abo | EurekAlert!

13-Sep-2024

AIを使った研究で、ソーシャルメディアの投稿のほとんどがフレーバー付きニコチン製品の健康警告をしていないことを発見

JAMA Network Openに発表された研究

 

-消費者に直接販売される医学検査:恐怖のうえに築かれた産業

Direct-to-consumer medical testing: an industry built on fear

THE LANCET Editorial Volume 404, Issue 10457 p991 September 14, 2024

消費者に直接販売される医学的検査産業が急拡大していて、世界的市場は2033年までに90兆米ドル以上になると予想されている。遺伝子検査がますます増えていて毎日10もの新しい検査が市場に投入されている、また健康や疾患に関連する生化学マーカーの検査や血糖などのような指標を監視する装置、ウェルネス検査と呼ばれるようなものまで、医療の専門家が関与しないまま検査できるようになっている。しかし多くの検査は正規の医療システムの範囲内ではなく人々に販売され、中には全く医療目的でないものがある。規制が弱いことが直販検査の繁栄を可能にしているが、その成長は消費者の恐怖につけこんだ商売目的で健康のためではない。

企業は消費者に自分の健康は自分でコントロールしようと約束するが、エンパワメントが可能になるのは信頼できる健康情報と対応可能な正確な結果が出せる検査がある場合のみである

(略。「専門家」も関係していたりするので対策は難しそう。)

 

McGill OSS

-高度に加工された食品にさらなる攻撃

Another Bullet Fired at Highly Processed Food | Office for Science and Society - McGill University

Joe Schwarcz PhD | 11 Sep 2024

これまで食物繊維の摂取を増やし高度に加工された食品の摂取は減らすように言われてきた。今回新しい研究がメタゲノミクスを使って腸内細菌を解析し、貧しい食事が大腸がんの原因となり食生活の改善でリスクが減る説明を提供する

腸内細菌の話とGastroenterologyに発表された論文の紹介。

 

-メディアがCAMについて間違っていること

What the Media Gets Wrong about CAM | Office for Science and Society - McGill University

Jonathan Jarry M.Sc. | 13 Sep 2024

記者がこうした記事を報道するやり方は、視聴者に大きな損害を与える

ジャーナリストがいわゆる補完代替療法(CAM)についていつも似たような報道をするがテンプレートがあるようだ。私は最近中国伝統医療(TCM、実態は伝統とは程遠い)についてCBCのジャーナリストからインタビューを受けたが、それが型にはめられたものになった。それはCAMについて真に理解したい人にとって問題がある。

テンプレートは以下のようなものである

  1. 主人公。病気でCAMを使用している
  2. CAMの信者。CAMの利点を宣伝
  3. 研究者。CAMを完全に信じているわけではないが研究には意味があるという。これまでのCAMの研究を無視する
  4. 懐疑論者。(言い訳のため)
  5. CAMの希望を語る

このプロットを占星術やタロットに応用することもできる。しかしまさに健康が問題になっているときにこのような報道は非科学的な介入の正当化でしかない。

TCMについて

TCMはホメオパシーよりは複雑である。私は鍼を試したことがある。しかし効果はなく、鍼灸師漢方薬も使用すべきだと勧めたとき、私の肝臓酵素をチェックしていた賢明な医師がどうしてそんな愚かなことをしたいのかと尋ねた。

TCMの経絡や「気」は存在が証明されたことはない。一方中国ハーブの有害影響の報告は多数ある。

私は取材に来たジャーナリストにこのようなことを全て話した。しかし重みの異なるものを同じように扱う両論併記の間違ったバランスで報道された。ジャーナリストには異なるテンプレートが必要である。

(問題のニュースはカナダで初めてTCMの学位を出す大学がでそう、という話)

 

-バイオプラスチックのベネフィットと問題を分解する

Breaking Down Bioplastics' Benefits and Problems | Office for Science and Society - McGill University

Joe Schwarcz PhD | 13 Sep 2024

完全に植物由来のバイオプラスチックであっても環境問題がないわけではない

バイオプラスチックはその由来あるいは生分解性をもとに分類される。あるものは再生可能な原料由来だが生分解されず、あるものは石油由来だが生分解される、そして再生可能原料由来で生分解されるものがある。最後のものが望ましいが達成が最も難しい。そしてそれでも最終製品になるまでには多数の化学反応が関与し、どのタイプのプラスチックでも毒性はあまり変わらないという研究もある。

動画

プラスチックの問題

The problem with plastics | The Right Chemistry (youtube.com)

 

-動画

牛のげっぷ

Cup o'Joe-Dealing with cattle burps (youtube.com)

2024/09/13

遺伝子組換え微生物の導入で牛のメタン排出を抑制できないかという話。もちろん牛肉を食べる量を減らしてもメタンは減らせる

 

その他

-SMC NZ

陰謀論の信念を減らすのにチャットボットを使う-専門家の反応

Using chatbots to reduce conspiracy beliefs - Expert Reaction - Science Media Centre

13 September 2024

米国の新しい研究が、チャットボットとの個人的相互作用が陰謀論への信念を減らせることを発見した。SMCは第三者の専門家にコメントを依頼した。

Otago大学講師Ana Stojanov博士

生成AIの学習支援機能を見てきたのでこの結果は驚きではない。この研究は個人向けに調整した介入のほうが一般的アプローチより効果的であることを確認した

Otago大学公衆衛生学部John Kerr博士

陰謀論の中には比較的無害なものもあるが有害なものもある。この研究は諸刃の剣で逆に陰謀論を信じるようにAIチャットボットに頼んだら?著者も述べているように、この技術が無責任に使われないようにする必要がある

ニュージーランド陰謀論

(1995年のラグビーワールドカップでAll Blacksが毒を盛られたという陰謀論を信じている人が31%、これを比較的無害な陰謀論、といっているが?)

 

-ダノンはどうしてニュートリスコアをとりのぞいたのか?

Danone removes Nutri-Score (foodnavigator.com)

13-Sep-2024 By Augustus Bambridge-Sutton

ニュートリスコアのアルゴリズム変更後、ダノンは一部の製品からこのFOPを除去すると発表。

ニュートリスコアは5色でAからEに分類する包装表面表示で、フランス、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルグ、オランダ、スペイン、スイス、ポルトガルが公式採用している。イタリアなどのいくつかの国は脱退している。

ダノンが今月から乳飲料と植物ベースの飲料からニュートリスコアを外すと発表した。理由は乳製品の評価方法の変更である。

これまで乳や乳飲料は「一般食品」で評価されてきたが2024年から「飲料」に変えられた。つまり低脂肪乳セミスキムミルクはこれまでAだったのがBに、全乳はBからCに格下げになる。飲料のカテゴリーでは水のみがAになれる。

ダノンはこの改定に合意しない。

ニュートリスコア開発の重要人物であるSorbonne Paris Nord大学Serge Hercberg栄養教授はこの更新が公衆衛生助言に従ったものだという。ダノンの乳製品にはソフトドリンクと同程度の糖を含むものがありそれがAやBに分類されるのが異常だったという。

(フランスの栄養学者って最近美食の国とはとても思えないようなことばかり言うのだが国民は本当のところどう思っているのだろう。以前はチーズ擁護して天然由来のトランス脂肪を除外して計上してたのに。)

 

-コンシューマーラボ

シナモンサプリメントとスパイスレビュー

Cinnamon Supplement and Spice Reviews & Top Picks - ConsumerLab.com

Updated September 12, 2024

注意:シナモンの鉛

最近Consumer Reportsが1ダースのシナモンスパイスの鉛を報告した。

 

-シナモンパウダーとスパイスミックスの高濃度鉛

High Lead Levels in Cinnamon Powders and Spice Mixtures - Consumer Reports

By Lisa L. Gill  September 12, 2024

17の店から購入した36製品のうち12製品が1 ppm以上の鉛

1ppmはニューヨークでのリコール閾値

FDAのリコールは2 ppm以上でそれを採用すると超過は3製品。この場合のシナモンの鉛は土壌由来と考えられるので対策には時間がかかるかも。Closer to Zeroを文字通りに推進すると大変)

 

-携帯電話ががんを引き起こさないというさらなる根拠

More Evidence Cell Phones Don’t Cause Cancer | American Council on Science and Health (acsh.org)

By Susan Goldhaber MPH — Sep 13, 2024

10年にわたって人々は携帯電話を死の罠のように見ていたものの、最近の報告は携帯電話ががんを誘発するという説に止めを刺した。なので携帯で自由に電話したりテキストを打ったりスクロールしていい、脳はどこにもいかない。

圧倒的な根拠にも関わらずIARCが携帯電話を「ヒト発がん性の可能性がある」と考える。IARCモノグラフの2011年のグループ2Bへの分類と2021年のEWG報告が携帯電話ががんリスクがあるという。しかし最近の研究は全て否定的である

なぜIARCは圧倒的科学的根拠を認めて分類を変更しないのか?IARCは全てのものががんをおこすと考えているからである。

携帯電話の使用がますます増え、より長期のより多くの使用で一貫して携帯電話とがんの関連は見られていない。

 

-SMC UK

食品の加工レベルと2型糖尿病有病率を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at food processing levels and type 2 diabetes incidence | Science Media Centre

September 16, 2024

Lancet Regional Health – Europeに発表された研究が食品の加工と2型糖尿病リスクを調べた

Oxford大学Nuffieldプライマリーヘルスケア科学部食事と健康准教授Nerys Astbury博士

この研究はいくつかの国の大規模前向き研究での超加工食品(UPF)と2型糖尿病の関連を探りこれまでの研究で報告された食事中UPFの割合と各種健康状態の関連を再確認した。

UPF摂取量が最も低い集団は、食事評価時点での年齢が若く雇用されていて病気の可能性が少ないことに注意することが重要であろう。また砂糖と脂肪と塩の摂取量も少なく、これらの多い食事が非伝染性疾患のリスクの高さと関連することはよくわかっている。

この新しい知見はUPF摂取と各種疾患の関連を示す根拠に加わったものの、UPFが原因であるという根拠はない。

Newcastle大学学際根拠合成准教授Gavin Stewart博士

この観察研究では超加工食品を食べる人々は糖尿病のリスクが高かったが、厳密なRCTなしに食生活の貧しさと食品の加工の程度を分解することは不可能である。問題はUPFが単独で食べられているわけではないということで、通常脂肪砂糖塩の多さとライフスタイル要因が関連している。UPFの種類によって影響が異なるという知見は興味深いかもしれないが一部の違いは偽陽性だろう。

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

この論文は今月発表されたUPFの大規模研究の少なくとも二つ目のもので、UPFをさらなるサブカテゴリーに分類している。9月のもう一つの論文は心血管系疾患(CVD)との関連を調べたもので異なる種類のUPFの影響は同じではないことを発見している。今回の糖尿病研究とCVD研究を比較するのは困難である、理由の一つはUPFの分類が同じではないからである。

研究として良いものであってもUPFと健康について答えていない疑問が多数残されている。

(長い解説略。)