[WHO]食品安全
食品安全デー特集
[BfR]ホルモン活性のある化合物:量の疑問
Hormonally active chemicals: a question of dose (bund.de)
27.05.2024
毒かどうかは量による、というのが毒性学の基本原則である。しかし「安全な」量がない、どんなに少量でも有害な、物質はあるか?この疑問は、ホルモン活性のある物質でも、議論の対象となってきた。外来物質はホルモン系に影響して健康に害を与えることがあり、そのようなものは内分泌かく乱物質と呼ばれる。それらには安全な量はないという主張が何度も繰り返されるが、多くの科学者は異議を唱えてきた。
BfRの科学者はこの議論になっている問題を調べることにした。内分泌かく乱物質を代表する4つの物質の毒性データを解析して、有害影響の閾値を決められるかどうか調べた。その結果を“Archives of Toxicology”に発表した。データは、十分なデータは保留中だが、評価された物質については閾値を決めることは可能で、ほかの内分泌かく乱物質の多くについても同様である可能性が高い。内分泌かく乱物質であっても、毒かどうかは量による
例として選んだのはジメトモルフ、メチラム、プロピコナゾール、エポキシコナゾール。すべてEUで、作用機序をもとに内分泌かく乱物質あるいはその可能性があると同定されたものである。農薬については規制要件があるため広範で信頼できるデータが参照できた。
論文はオープンアクセス
リスク評価における「閾値なし」の概念の有用性に疑問
(「閾値なし」と「予防原則」の組み合わせは「運動」にとって便利なだけで現実問題の解決に役に立たない。内分泌かく乱物質の低用量影響は20年以上たって証明されていないのだからもうほうっておけばいいのでは。)
[FDA]FDAはオレゴンとワシントンの麻痺性貝毒汚染の可能性があるある種の魚介を、レストランや小売店に販売または提供しないように、消費者には食べないように助言
June 5, 2024
特定地域のカキとアサリ
[NASEM]新しい報告書は長期COVIDの診断、リスク、症状、患者の機能への影響の根拠をレビューする
June 5, 2024
2020年のCOVID-19パンデミック以降、感染者の多くが感染から数か月あるいは数年後も症状が続く。新しい報告書は長期COVIDの一部の健康影響は個人の労働や学習能力を損なう可能性があるという。たとえCOVID-19が軽症でも重症長期COVIDになる可能性がある。長期COVIDによる障害リスク要因は女性、COVID-19への予防接種をしていないあるいは不適切、既存の障害や病気がある、喫煙。長期COVIDの診断、測定、治療は複雑である。
感染症に関連した慢性症状は新しいものではなく、長期COVIDの特徴は筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)、線維筋痛症と多くの特徴を同じくする
[ANSES]受粉媒介者間での病原体の伝達
03/06/2024
欧州8か国で行われた研究で、病原体が受粉媒介昆虫一種からほかの種に伝達されることが確認された。したがって、近くのミツバチコロニー汚染で野生の受粉媒介者の健康が影響を受ける。これまでの研究と違って、この研究ではミツバチの採集地域で栽培されている作物の種類は有意な影響はなかった。
(使われている農薬は関係なかったとしれっと書いているのだが。趣味の養蜂で病気を蔓延させることのリスクはずっと言われていた。「ミツバチを救え」と言って農薬だけ標的にした運動の根拠のなさを反省するつもりはないようだ)
Nature Volume 630 Issue 8015, 6 June 2024
フェイクニュース特集
エディトリアル
我々はオンラインでのデマの拡散について何を知っていて何を知らないのか
What we do — and don’t — know about how misinformation spreads online (nature.com)
05 June 2024
デジタルデマが何故どのように拡散するのかに関する我々の理解にはギャップがある。虚偽の拡大を最小限にするための効果的介入を設計するのに、研究者にはオンラインプラットホームのデータと透明性が必要である
論文
McCabe, S.D., Ferrari, D., Green, J. et al. Post-January 6th deplatforming reduced the reach of misinformation on Twitter. Nature 630, 132–140 (2024).
Ahmad, W., Sen, A., Eesley, C. et al. Companies inadvertently fund online misinformation despite consumer backlash. Nature 630, 123–131 (2024)
Budak, C., Nyhan, B., Rothschild, D.M. et al. Misunderstanding the harms of online misinformation. Nature 630, 45–53 (2024)
-コメント
デマはあなたが思うより大きな民主主義への脅威
Misinformation poses a bigger threat to democracy than you might think (nature.com)
05 June 2024 By Ullrich Ecker
今日の極端に分かれた政治的ムードの中では、間違いを指摘する研究者は攻撃され、真実の裁定者気取りとレッテルを張られる。しかしデマとの戦いには意味があり緊急に必要とされている。
(ワクチンと選挙の話だが、日本では東日本大震災後に「間違いを指摘する研究者」を中傷していた人たちの中に社会学だの宗教学だのの「学者」が含まれていたことは忘れない)
他
Is AI misinformation influencing elections in India?
-父親の食事が精子と―息子の健康に影響する
A dad’s diet affects his sperm — and his sons’ health (nature.com)
By Julian Nowogrodzki 05 June 2024
高脂肪食を食べたマウスの父親とBMIの高い人間の父親は代謝疾患をもつ男の子どもを得る
Natureに6月6日に発表された研究。
-感染牛の乳から膨大な量のトリインフルエンザウイルスが検出された
Huge amounts of bird-flu virus found in raw milk of infected cows (nature.com)
By Max Kozlov 05 June 2024
新しい知見は搾乳が牛の―そして牛からヒトの―トリインフルエンザ拡大経路の可能性があることを指摘
(新しいデータはプレプリントサーバに投稿されている)
論文
-ギャップに注意:子供が3人以上いるイタリアのママはパパより仕事をする年数がはるかに少ないがフィンランドは同じくらい
Mind the gap: Italian moms with 3+ kids work | EurekAlert!
5-JUN-2024
イタリアの父と母のワーキングライフは相当違うがフィンランドではバランスが取れている
European Journal of Populationに発表されたイタリア、フィンランド、アメリカの比較
(国によって違う。)
-ヒトの食べる野菜によるタイヤ添加物の取り込み
Uptake of tire wear additives by vegetables g | EurekAlert!
5-JUN-2024
処理排水や下水、下水汚泥を農地に使うと葉物野菜にタイヤの添加物が入る
Frontiers in Environmental Science
ベンゾチアゾールや6PPD、濃度は低い。
-何故アメリカ人の10人中1人がアトピー性皮膚炎なのか?塩の摂りすぎ?
Why do 1 in 10 Americans get eczema? Is it to | EurekAlert!
5-JUN-2024
JAMA Dermatology. に発表された研究が、日々の塩の摂取量の違いが湿疹の再燃を説明できるかもしれないことを発見した。尿中濃度との関連の横断研究
-大規模医療システムでプライマリーケアを受けている患者の報告する大麻使用
June 5, 2024
Lillian Gelberg et al., JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2414809
175734人の横断研究で、過去3か月以内に大麻を使用したのは17.0%で、そのうち34.7%は大麻使用疾患の中から高リスク。76.1%は健康上の症状管理が大麻使用の目的だと報告するが、医療用大麻の使用者は極めて少ない。
(アメリカの大麻の状況が日本の機能性表示食品の状況に類似するような。)
その他
Lesser Evil, Serenity Kids Cassava Puffsは高濃度の鉛を含む
Lesser Evil, Serenity Kids Cassava Puffs Contain High Lead Levels - Consumer Reports
By Lauren Kirchner Data visualizations by Andy Bergmann
June 5, 2024
小さい子供に野菜を食べさせるのが難しいときに砂糖が多くない野菜スナックは魅力的。もちろんこれらのスナックは野菜と同等の栄養を含むわけではない。しかしもっと大きな問題がある:一部に鉛やその他の危険な重金属が含まれる。
例えばコメでできたパフやスナックにはヒ素が多い可能性がある。そのため最近一部の製造業者はコメの代わりにキャッサバやソルガムを使っている。これらは最近の穀物やグルテンを避けたい人たちに人気の成分である。
Consumer Reportsは鉛中毒予防活動をしている「鉛安全ママ」のオーナーであるTamara Rubinからキャッサバの鉛について警告された。そこでベビーフード6製品の鉛を調べた.
全ての製品からヒ素とカドミウム、1製品から水銀を検出したが意味のあるリスクとなるほどの濃度ではなかった。しかしLesser EvilのLil’ Puffs Intergalactic Voyager Veggie Blendパフの鉛濃度は2017年以降CRが検査したどのベビーフード製品より高かった。ほかに2製品が鉛濃度が高かった
(これも基準がカリフォルニアのMADL。検査した製品すべて「オーガニック」を標榜。もともと根菜は穀物より鉛が多くなりがち。何故一部の界隈で穀物が悪者にされているのかはわからないが。CRの立場としてはコメを含むすべての野菜果物は重金属の多い可能性があるものの完全に排除するのではなく、いろいろなものをローテーションして食べるように、とのこと。でも実際にやってることは恐怖を煽って特定の製品を排除させようとすることで。)